輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

インスタ映えする古文房具 大丸の組合せ文具

子供の日だ。

子供の日らしい文房具をと思い、
子供へのプレゼント用の文房具、組合せ文具を紹介しよう。

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戦前の組合せ文具はどれをとっても
とてもおしゃれだ。
これは昭和初期のものと思われるが、その頃の鮮やかな色遣いに
アールデコが混ざった感じが華を添えている。

ただ、隙間が結構あるので、恐らく完品ではない。
あと何が入っていたのだろう。
よくあるものでここに無いものと言えば、ペン先、文鎮、紙もの?





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組合せ文具は外箱のデザインも見ものだが、
これはファイバー製のケースになっていて
ケースはケースで使えるようになっている。
デザインがないのは残念だが、当時これは先進的なものだったであろう。

左下のマークから、大丸百貨店の物であったことが分かる。
内側にはこのラベルが貼られていた。
このケースを作ったメーカーの物だろう。

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中身を見ていこう。


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日本大勝利クレイヨン
太くて大きなクレヨンだ。
説明書きに「絵の仕上がりは上品で、深みに富み、嫌味がありませぬ」とあるのが面白い。

あまりないアピールだが、大事なことだ。

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これは単語カードかと思ったが、メモ帳のようだ。
透明な枠から見えるように、時間割を書くと良い、というデザインだろう。

ついている金具はリングかと思ったが、挟んであるだけで
ちょっと珍しい。

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そしてコンパス。
コンパスはいろいろ持っているが、鳩印は初めてだ。

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この箱の絵柄は、多分今まで見たどのコンパスの箱よりファッショナブルだ。

コンパスも面白い。
鉛筆を挟んで止める部分が「S」になっている。
これを回すと内側の鉛筆を挟むところが締め付けられる仕組みだ。

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そして絵具。
絵具も組合せ文具には大抵入っているものだが、
3色だけというのは珍しい。


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そして「TAKABOSHI」というのもまた初めて聞いた。

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トリが星を加えている絵だが、鷹というより鳩っぽい。
ずいぶん優しげな鷹である。


鉛筆も鳥モチーフだ。

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ブランドは「サークルダイヤ」だが帯の鳥はこちらの方が鷹か鷲のようだ。

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鉛筆の商品名は「昭和鉛筆」
そしてマークはペン先がクロスしていて、慶応大学のマークのよう。
何だかばらばらだが、軸の色が6色というのが華やかで良い。


そして消しゴム。

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どの組合せ文具を見ても
消しゴムの質が悪いものが多い。
これも消しゴム自体はある程度の質感だが、表面への印刷が雑だ。

まだちゃんとしたものは、少なかったんだろうな。

そしてこの消しゴムは「ALBATROS」

偶然だろうが、鳥尽くしのような組合せ文具だ。

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ノートは同じものが2冊。

裏表紙はメートル等欧米の単位の覚え方が記載されている。

表紙は浅草の駒形橋。

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ということは、駒形橋が竣工したころの物だろう。
調べたところ、駒形橋は昭和2年竣工。

やはり昭和初期だ。

ちなみにノートの中は無地のわら半紙。

そして一番下にはクレヨンペーパー。

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このほかに画鋲の缶が入っていたが、
時代が違う気がするので、恐らく後から入ったものではないだろうか。

組合せ文具の中身は以上だ。

組合せ文具は大体子供へのプレゼントなので
時期としては新学期の3月頃のイメージだが、昔は12月にもよく売れたらしい。
クリスマスか、まだその習慣がないとしたら年始の贈りモノか。

ちなみに、恐らくこういった組合せ文具を買ってくるのは
大体のところ、親ではなく、親戚や知人などだったであろう。
あげるのは子供にだが、貰ったものは当然親も見ている。
子供だけでなく、親にも一緒に喜んでもらったほうが良い。

そのためには組合せ文具の見栄えというのは、中身の文具の品質以上に
大事だったのではないだろうか。

この大丸の組合せ文具は、中身はメーカー不明や、無名メーカーのもので構成されており、
品質面は良くわからない。
ただ箱を開けた瞬間の見栄えはとても良い。

包みをほどいた瞬間、又は箱を開けた瞬間、貰った子供だけでなく
大人の目から見ても「わぁー!」という驚きがあるかどうかが重要なのだ。

今でいう「インスタ映え」する組合せ文具ということか。


箱を開けた瞬間、高級オーラが漂う三越の組合せ文具とはひと味違うが
私としては、このインスタ映えする組合せ文具も悪くはない、
というか入手できてうれしいのだ。


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わが家へようこそ。
組合せ文具もかなり増えた。

でもまだまだ大歓迎だ。