輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

明治42年 三越の文具ブックと価格表

昨日更新した「クレヨンセット」の記事は、本当はもう少し内容を入れ込むつもりだったのですが
長くなるので分けました。

分けた内容はこの「明治42年 三越の文具ブックと価格表」です。

私の持っている組合せ文具の中で最も古い三越製のものが
いつの時代のものなのかというのが
かねてから気になっているのですが、
一つのヒントは明治42年三越で開催された「児童博覧会」ではないかと思っていました。
(その組合せ文具について、ブログで紹介していないですね。
 画像はこの記事の下の方と http://blogs.yahoo.co.jp/tai_michi/17371074.html にあります)

きっと児童博覧会に合わせて用意された文房具があったに違いない。

そう思ってずっと明治42年の「みつこし」「みつこしタイムス」などを探していました。

そしてやっとその頃のみつこしタイムスを発見!

お世話になっている骨董屋さんの所にみつこしタイムスがまとめて入り
幸いなことに中を確認させていただけたので
ひたすらページをめくり、1冊見つけてきました。

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明治42年2月号です、。
開くとイベント予告ページがあり、その中に「児童博覧会 4月上旬より」とあります。

さてさて、私が探している情報は何かあるでしょうか。

ページをめくっていくと、文房具のページがありました。
明治42年の文房具の写真となると
これはこれで貴重な資料です。


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インク壺と鉛筆です。

ここで紹介されている鉛筆はすべて欧米の物でした。

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ドイツ へ―バー社 → ファーバーがへ―バーに。

画像が悪いのですが、この鉛筆は1本づつ硬度が異なるJohonn・Faberの鉛筆ですね。

同じではないですが、これ↓の仲間だと思います。

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ドイツのLYRAがライラなのも新鮮です。
イーグルはそのままですね。


そしてページをめくって行って見つけたのはこの記事。

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三越特性文具ブック」の紹介です。

ずっと「組合せ文具」と言っていましたが、
三越は「文具ブック」という名称だったようです。

そういえば私が持っているものも、蓋が別にあるのではなく
本の表紙のようにくっついていルタイプです。
なるほど!

そして、この紹介を見ると、このタイミングで出来たものではなく
「種類を増やした」ということなので、「文具ブック」は以前からあったようです。

伊東屋さんが組合せ文具を考案し、それを見て「文具ブック」を作ったのか
またはそれぞれ作ったのかか、
もしかすると三越の方が早かったのか。

今となってはわかりませんが、
組合せ文具大好きな私としては、明治42年三越では「文具ブック」があったいう事だけでも
なんだかうれしくなります。

肝心の中身は画像が悪くてほぼ何もわかりません。
一つだけ。

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箱の右下に入っている小さめの箱、これステッドラーの色鉛筆だと思うんです。

これと同じじゃないかな。

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かなり想像力を要しますが、多分同じものだと思います。
となるとこの色鉛筆の時代も特定できました。

このように芋づる式につながっていくと
ホントに資料って大事だなと思います。

なお、この時代に文具ブックという組合せ文具があったことがわかりましたが
私が持っているモノとはかなり雰囲気が異なるようです。
(持っているのはこれ↓です)

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多分私の持っているものはもうあと何年か後かな。

もう少し後の時代の「みつこしタイムス」を探してみないとだめですね。



ということで、明治42年のみつこしタイムスを手に入れた目的である
「組合せ文具の時代」の答えは出ませんでしたが
「文具ブック」というのが分り、その他にも当時の文房具情報が少しわかったのでよかったです。

せっかくなのでこの号に掲載されている文房具情報をご紹介しておきましょう。

文具ブックの隣のページには「人名簿」が紹介されていました。
説明を読む限り、人名簿の一般的なカード式ではなく、直接書きこむタイプのようです

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そして日露戦争戦役記念商品の中には定規や硯箱がありました。

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また、当時の文房具の価格表もありました。
三越の価格なのでおそらく市場価格より高めだったと思われます。

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コンパスが2円50銭からととても高いです。
となりに「文廻し(コンパスの事)」があるので、このコンパスは方位を示す方のコンパスか
または舶来のものかもしれません。


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一つ一つを見るとピンときませんが、文房具の中で比較すると多少当時の価値観というか
高級品とそうでないものがわかりますね。

万年筆、和製は35銭からで、舶来は3円からと約10倍なんですね。

文房具の情報は以上ですが、
おまけでこちらを。
振込用紙や注文書が美しいんです。

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この枠線に色合い。いいですね。
そして注文書。


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もしかしたらこういう細かい部分のデザインも
杉浦非水によるものかもしれません。


そして裏表紙。

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いいですね。

この図案、非水さんではないでしょうか。

本当は今回チェックさせていただいたみつこしタイムスのなかに
表紙が非水さんらしい素敵なものがあったのですが
目的がそちらでないのでこの号にしました。

文房具のことはちょっとだけですが、
この時代のことが分かる貴重な資料です。

古いみつこしタイムスは数もないし
出てきたとしても中身を確認させていただくのが難しかったりしますので
今回はほんとにいい機会に恵まれました。

同じような機会はそうないと思いますが
地道に探していきます。