輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

クツワ 店頭ディスプレイ付きステキ骨筆

昔の店頭ディスプレイで、ボール紙に商品を括り付けるのがある。

元は欧米から来た形式と思われるが、

残念ながら日本でその形の古いディスプレイの現物はなかなか見つからない。

 

という貴重なものを先日見つけることができた。

 

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クツワの骨筆(こっぴつ)、店頭ディスプレイだ。

「甲」の字のようなマークはクツワさんが1958年まで使っていた「フリコ印」だ。

 

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この部分のデザインが、格好いいし品もあってとてもステキだ。

「F.N.&CO.」ということは「西村福松商店」時代なので

大正9年以降になる。

 

デザインからすると大正終わりから昭和初期かな。

 

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これが入っていた箱も一緒に入手した。

貼られているラベルのデザインも良い。

 

 

ところで、「骨筆」って何?という感じだと思うが、

謄写版の蝋原紙に書く道具のようだ。

インクを付けて書くのではなく、蝋原紙の蝋を削り取ることで

そこからインクを透過させて印刷する、というものかと。

 

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首のところがねじで開けられるようになっており、

中に予備が1個入っている。

 

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軸のセルロイドの色合いや模様も

日本の事務用品らしい落ち着きがあって

味わいがある。

 

 

クツワさんは1910年開業の百年越え企業。

時々古いものが出てくるのだが、

昔のマーク時代が可愛いしなかなか良いデザインのものが多い。

今回も良いものを見つけた。

不易糊工業の墨汁ビンと澤井商店のインクビン

3月末のイベントの準備でバタバタしていて、

(その節はありがとうございました。)

そのまま月末月初の繁忙週間に突入し、

気づけばブログが1か月半更新あいてしまった。

 

もろもろ一段落したので、ブログ更新と共にちょっと一息。

 

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という写真を載せたくなる墨汁のビン。

明治時代の古いビンも魅力的だが、代用品なのかな、

飲料のビンにしか見えないけど中身はインクや墨汁のビンって面白い!

と思って買ってしまう。

 

(ちなみに写真の中身は黒ウーロン茶。)

フエキ君をモチーフにしたお菓子や雑貨がいろいろ出てるけど、

昔の墨汁のラベルを貼ったドリンクとかもそのうち出てきたりして。

 

 

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ラベルのデザインや社名が「不易糊工業」であることを見ると

大正終わりから昭和初期頃だろうか。

 

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ラベルの両サイドには商品の宣伝文句が書かれている。

右と左は同じ内容のようだが、左側は漢文で書かれている。

 

 

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昭和4年の広告を見ると、同じようなビン入り墨汁が載っている。

 

 

大きいビン類は保管も扱いも困るから

もう買わない、と何度自分に言い聞かせたことか。

 

でも、これは持っておきたいよ。

そしてもう一つ、持っておきたいのがあってさらにビンが増えた。

 

 

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澤井商店の朱色インキ。

この王冠マークがいい。

それと蓋が木とコルクで出来ているので、

割と古そう。

 

 

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大正時代の澤井商店のカタログの表紙の王冠と同じなので

これも昭和初期くらいかな。

(このカタログに載っているのとはデザインのトーンが違うので

 もう少し後だと思う)

 

 

そういえば、澤井商店は不易糊の大手取扱店だったらしく

カタログの最後にこんなページが。

 

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この時代の不易糊の瓶をずっと探しているのだが、

いまだに見つけられていない。

ちなみに、画像カラー部分は不易糊の商標が一枚一枚張り付けてある。

とてもきれいな色とデザインで、このページを見るたびに

しばらく眺めてしまう。

 

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ということで、話があちこち飛んだが、

今回は不易墨汁と澤井商店朱色インクのビンの紹介、

以上だ。

 

質屋の紙風呂敷

骨董市で面白い紙を見つけた。

4つに折りたたまれているが、かなり大きい。

 

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目を引いたのはピンクの罫線の罫紙や伝票のようなものが張り付いていたからだ。

 

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「これ何?」

「質屋さんが預かったものを包む風呂敷だって」

「へぇ~面白い!」

 

確かに風呂敷と同じくらいの大きさで、それなりに丈夫そうだ。

「和五年」とあるので昭和5年のものだろう。

さくらや」とあるのは質入れした持ち主のなまえかな。

 

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よく見ると、札がたくさん並んだような絵?記号?文字??がいくつも書かれていた。

当時の質屋さんが使っていた記号とかかな。

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伝票の用のものに「受渡」の印や、丸のようなマークは質流れさせずに引き取りに来たものや、逆に質流れになったものなのか、終了ということだろう。

 

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つまり自分の店で使っていた帳簿や伝票も使い終わったら糊付けして風呂敷として再利用していたのだな。

私が入手したのは、罫紙など文房具が再利用されたものだが、

他に本か書類のようなものを再利用したものもあった。

 

最初の写真は外側にあたり、反対面はこんな感じ。

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着物でも包んであったのだろうか。

紙は細かいものをたくさん継ぎ合わせてあり、二重三重になっているようだ。

 

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薄くて丈夫な和紙だからできたことだろう。

そしてインクではなく墨というのも都合がいいのだろう。

 

この紙風呂敷自体は文房具ではないが、使用済みの文房具がこんな風に再利用されていたというのが面白い。

今も紙の再利用は積極的に行われているが、昔は昔で当時の生活や知恵で無駄のないように再利用されていたのだな。

 

こういう資料にも載ってない情報って

貴重だし面白い。

モノと情報を両方見つけてきてくれる骨董屋さんに感謝である。

うん、楽しい。

 

 

そうだ、お知らせ。

連載「文房具百年」。今月はチェックライターの最終回です。

改ざんとの戦いを続けるチェックライター、どんなものがあったのか

是非ご覧ください。

www.buntobi.com

誰かのコレクション「芯」

骨董市で、フランスのペン先の箱にいろいろな種類の替え芯がまとまって入っているのを見つけた。

 

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MALLATはフランスのペン先や消しゴムのメーカーだ。

個々の消しゴムが大好きなのだが、確か今はもうなくなっている会社だ。

どこかに吸収されてしまったと思う。

 

芯はまとまって、と言っても、入っていた箱が小さいので、大した数ではない。

 

 

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一つ一つ種類が違うところを見ると、集めていたんだろうな。

A.W.FABERのが一つあったけど、あとは知らないメーカーばかり。

スイス製があったり、日本製にモノも混ざっている。

芯だけでなく小さな箱も集めていたようで

オシャレな箱がいくつもあったが、欧米のものが多かった。

 

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芯を集めているというより、誰かが集めていたであろうものをばらしたくないなと思って

まとめて買い取ってきた。

箱までは手が届かず。

 

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君たち、これまで一緒にいたんでしょう?

これからも一緒に居ればいいよ。

 

そんな感じ。

 

それと、時々誰かが集めていたであろうモノを引き継ぐのだが、

中身がバラバラになって元のコレクションがわからなくなってしまうことがあるので

そうならないよう備忘録もかねて。

 

 

 

大正時代の缶ペンケース 

※なんと!開明さまから情報をいただいたので補記します。(2021/2/9)

骨董市で、黒の缶ペンケースを見つけた。

私にとって缶ペンケースと言えば1980年代頃のナツカシ文房具で、

そのあたりの文房具は基本興味の対象外である。

 

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「違うな。」

そう思って通り過ぎようと思った時に、「TAGUCHI」と書かれていることに気づいた。

古文房具好きな自分にとって「TAGUCHI」というと

「日ノ出向鳥」商標の消しゴムメーカー田口ゴムと

開明墨汁の田口商会(現開明株式会社)の2つの会社が関わっている可能性のある重要ワードだ。

 

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通り過ぎるのをやめて一歩戻ってよく見ると

「Kaimeiboku Tuzuribako」と書いてある。

※「Kaimeinoku Suzuribako」でした。筆記体のTに見えるが、Sもこのように書くことがあるそうです。誤字などと言って失礼しました。

 

これは開明墨汁の缶ペンケースだ。

漢字にすると「開明墨 綴り箱」?だと少しおかしいので、

開明墨 硯箱」と書きたかったのではないかと思われる。

 

ということは、中身は80年代の缶ペンケースではない。

 

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昔の携帯用の文房具セットだ。

中には小さなガラスの瓶に、墨を入れる小さな墨池、というのだろうか、綿がセットされていてふたがついている。

あと、竹の棒のようなものがあるがこれは筆だったものの残骸だろう。

通常は筆を入れておく。

 

かなり傷んでいるが、開いた左側の一番上の丸い容器は朱肉?のようなものが入っていた跡が残っている。

 

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瓶は、ふたを閉めているときは寝かしているが、

起こすこともできるし、金具から外すこともできる。

 

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裏ブタにはしっかり田口商会の商標「梅鉢マーク」がある。

 

 

このタイプの筆墨を携帯する用の筆箱は「文具筥(箱)」といった名称でよく見かける。

時代としては明治~大正であろう。

その時代にこの英字表記のデザインは、最先端のオシャレさだったのではないだろうか。

前回のブログで紹介した開明墨汁の容器もきれいで上質な感じだが、

こちらもまた違った良さがある。

 

やるじゃないですか、開明さん。

 

※表の「S,TAGUCHI」の「S」は創業者の田口精爾氏のイニシャルであろうとのこと。田口精爾氏は大正末期に亡くなられていることを考えると、大正時代のものと考えることができるとのこと。

 

  

そしてオシャレな文具箱をほかにも見つけたので

一緒にご紹介。

 

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これもかわいい。お財布か小さなカバンのような形をしている。

「KABAN BUNGU」という名前だと思うが

これも(?)BUNGUの「U」が二つに分解されてしまい「JJ」となってしまっている。

開明墨のほうは間違いではなく「綴り箱」なのかもしれないが)

英字スペルの認知が低かった時代ということで

却って時代感を感じる。

 

中身の構成は基本同じ。

 

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お掃除していないので汚れてるが、大体同じものがセットされている。

瓶がないが写真一番下のところにもしかしたらセットされていたのかもしれない。

 

あと一つ、これもなかなかいい感じだ。

 

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表に花鳥が浮き彫りになっている。

 

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余計なお世話だが、裏から見ると

ちょっと細長いロケットみたいな造形でなんだか格好よく見える。

 

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「甚造」君が持ち主だったようだ。

「甚造」君、どんな人だが存じ上げないが、何となく繊細そうな人物を想像した。

 

これは瓶がついていないタイプだったようだが、

この小さなガラス瓶がついているペンケースって、

今でもアリじゃないかなとちょっと思った。

墨じゃなくてインク、筆じゃなくてつけペンかガラスペン。

 

 

 

余談だが、こういった「文具箱」は文房具を集め始めた最初の頃から存在は知っていたが、

「墨筆は興味ないから」と言って手を出さないで来た。

 

だがなんだかんだで最近数が増えだしている。

あああ、またターゲットが広がってしまったのか。

よく考えろ、自分。

 

今日紹介した以外にも持っているので、いつか紹介しようと思う。

そのときはよろしく。

 

ちなみに「大正時代」は推測。

モノとしては昭和にはほとんど使われていなかったと思われるが

明治まで古くないカナ的な感じで対象とした。

 

 

田口商会 ジュースのような開明墨汁

骨董市で見つけた紙の巻かれたガラスの瓶。

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この濃厚で泡立つ感じは、

トマトジュース???

 

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に見えるが、墨だ。朱色の墨。

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開明朱墨汁。 

現在の開明株式会社、旧社名田口商会の朱墨だ。

朱墨汁は骨董市などでも時々見るが、

小さな缶やインク瓶のような瓶に入っているものがほとんどで、

このサイズの瓶は珍しい。

 

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コルクのふたの頭には開明の「開」が書かれた「梅鉢」マークだ。

 

開明株式会社のホームページによると

朱墨汁は昭和25年に発売されたものなので

それ以降のものだろう。

http://www.kaimei1898.com/aboutus.php

 

「なんだこれ?ジュース?」のインパクトで買ってしまった。

 

 

ついでにもう一つ田口商会の墨汁を。

 

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こちらは時代的には先ほどのジュースのような朱墨汁よりかなり古いものだ。

古い墨の瓶は一見インク瓶のようだが、

形が平たく首がキュッとしまった特殊な形をしている。

ふたが大きいのも特徴的だ。

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ふたはコルクに大きな木のふただ。

下半分はブリキの受け皿のようなものがついている。

 

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ふたにはこちらも「開」マークをあしらった梅鉢マークだ。

梅鉢マークは明治から使われているが、田口商会という名称は大正5年以降なので

これもそれ以降、おそらく昭和初期ころではないかと思われる。

 

こういった墨の瓶は時々見るが、汚れているものや

ふたが壊れているものが多い。

ブリキの底面も含めて、これだけ状態がいいのは珍しい。

 

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昔の墨汁はこんな風に売ってたんだよ、という

参考資料として。

 

 

 

雑記帳のいたずら書きと90年前のクイズ

先日NHKラジオさんから、学習帳の歴史について問い合わせをいただいた。

Web連載「文房具百年」の学習帳について書いた記事をご覧いただいたそうで、

こうやってつながっていくってうれしい!

「Nらじセレクト」という10分程度のコーナーで

学習帳について紹介をされるそうで、そちらに取材協力させていただいた。

放送予定日は、1月18日(月)午後7時半から午後8時の間で、

10分ほどのコーナーとのこと。

 

告知ついでに学習帳とはちょっと違うが、

昔勉強とかにも使われていた何でもノート「雑記帳」を2つ紹介をしよう。

 

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桃太郎のノート。大正時代の質感なので、「七年」とあるのは

大正7年と思われる。

中は無地のざらっとした紙。

 

男の子が学校のノートとして使っていたようだが、

いたずら書きがあって、それがなかなかうまい。

 

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やかん。なぜ勉強中にやかんを書きたくなったのかはわからない。

 

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これはウサギと亀かな。

端の方に日本神話に出てきそうな横顔付きだ。

 

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これ、絶対先生だと思う。

右上の石川五右衛門みたいなのと先生と思しき顔の関連がわからないが。

なかなか上手ではないか。

子供のノートってこういうところも楽しい。

 

次のノートは昭和初期くらいかな。

 

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高校生女子のノート。

東金高女とあるので調べたら、明治時代からある歴史ある学校とのこと。

中はびっしり勉強のノートで、なるほどという感じ。

 

ふと目についたのがこれ。

 

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「むだづかひ一二三五六七八十」

「きゃうの魚はうまかった」

 

 

教科書の例文の天気かと思ったのだが、

これだけノートの済に枠で囲って書いてある。

で、よく見ると。

「あ、これクイズだ!」

 

答えわかるかな?

 

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「むだづかひ一二三五六七八十」

→ 「無駄遣いはよくない」(四九がない)

「きゃうの魚はうまかった」

→ 「鯨はうまかった」(魚+京で鯨)

 

これ、授業中にお友達から聞いて、面白いと思ったんでしょうね。

きっと優秀な所各生産だったと思うのだが、

こういうのを面白いと思う素直さがほほえましい。

 

 

ということで、1/18のNHKラジオ、よかったら聞いてみて。

私も聞こうと思う。

なお、聞き逃しはらじるらじるでも聞けるとの頃。