輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

三越組合せ文房具その2 二色シャープペンシル

先ほど三越の組合せ文房具について
記事を1件アップしましたが、その際「その1」としました。

長くなってしまうので、2つに分けた方がいいかと。

その2は何かというと


その1の記事で組合せ文具の中身の紹介をしましたが
一つ紹介をとばしたのに、気付いた方はいるでしょうか?

それがこれ。

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「ASIA 2COLOR Sharp-Pencil」とあります。
実はこれ、入手する際に私もこれが入っていることに気づきませんでした。
超どり本の陰に隠れていて。

ふたを開けると。。。

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恐らく箱に詰められてから80年近く
この薄紙の中で眠っていたのでしょうね。

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出ておいで、と心で小さくつぶやいて
中身を出すとシンプルな繰り出し式シャープペンシルが出てきました。

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0.5円 → 50銭ですね。
昭和10年頃、「職人さんの一日の賃金が80銭」という記載を先日資料で読みました。
その半分より少し高いくらいなので、手が届かない金額ではありませんが
子供が使う文具セットの中に入っているものとしては
高級ラインではないでしょうか。

箱にある通り、二色のシャープペンシルです。

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そして説明書が入っていました。

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「頭冠を引き抜けば消しゴムが!」とありますが
壊しそうなのでやめておきました。

そして最近これがあるとワクワクする特許の番号がありました。

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さっそく調べると、出てきました。
大正14年に申請しており、昭和2年に特許が下りています。

この組合せ文具の時期が昭和7、8年頃と思ったので、
だいたい辻褄はあっています。

では三越が組合せ文具に入れたシャープペンシル
一体どこのメーカーなのか、
が気になるわけです。
そこで申請者は誰だろうと見て見ると。。


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発明者 並木かね 北豊島郡西巣鴨町
特許権者 林田惟一 京橋区尾張町

あれ、「並木」「京橋」の組み合わせといえば。。。

えーと、そうそう京橋本社のパイロットさんの旧社名は「並木製作所」
え、もしかしてパイロットさんのシャープペンシル

三越の組合せ文具だから十分あり得る話ではないかと
ドキドキしながら調べてみました。

そうすると、パイロットさんの工場は「北豊島郡巣鴨町」にあったことと
シャープペンシル発売が昭和2年だったころも判明。

一致しそうな符号が並び
「ほんとにこれ、パイロットさんのかもしれない!」とだんだんテンションが上がります。

でも、さらによく見ると、ちょっとずつずれているんです。

特許の書類にある「京橋区尾張町」は今の住所でいうと京橋というより
銀座4丁目のあたり

工場の住所も少し違う

並木かねさんという方の情報がない。


悩ましいので、ダメもとでパイロットさんに聞いちゃいました。
そうしたらまず個人の研究などへのサポートはしていらっしゃらないとのこと、
資料がないので、並木かねさんという方がパイロットと関係あるともないともいえない旨
大変丁寧なご対応をいただきました。

研究どころか、個人の趣味でお手を煩わせてしまい、
大変申し訳ありませんでした!

ちなみに、昭和5年パイロットさんが申請している特許の書類を見つけました。
二色ではなく普通のシャープペンシルに関するものです。

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ほら、住所とか微妙に違いますでしょ。

また、同じころやはり二色シャープペンシルについて「並木かね」さんの
申請もありました。

ということは、並木かねさんとパイロットさんは
関係ないと思った方が自然でしょうね。

関係があったら全部並木製作所で
申請すればいいことですから。

もしかしたら創業者一族と、
何らかのつながりがある方だったのかもしれませんが、
わかりませんし。

ココは違うようだということで、
一旦終わりにしておきます。

もしいつか何かわかったら
続きの記事をアップすることにします。

組合せ文具だけでドキドキするのに
別のドキドキも加わって楽しみました。

いつか皆さんにお見せしますね、きっと。