輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

職業文具 速記・タイピスト用バインダー

都内は主な桜は大体散って、八重桜に変わりつつあります。

今年は咲くのが遅かったし、一番見ごろだった先週からの1週間の天気が悪くて
残念でした。

さて、会社員をしていると、桜が咲き終わるまではなんとなく期初のドタバタ間に
流されていていい気がするのですが、
桜が散るとそろそろ落ち着いて、がりがり仕事をしなければならないように感じるのです。

ということで、仕事色の強い文房具をご紹介。
仕事で使う文房具は多数ありますが、今日ご紹介するのは
ある職業に特化して作られたと思われる文房具です。

職業文具とでも言いましょうか(←勝手に命名

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オークションのサイトでファイルやバインダー類の画像も数多く見かけるのですが
大抵ノーチェックで流しています。

でもこれはこの上のバーのようなものに目が止まりました。
「何かついてる、なんだろう?」


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表紙の裏に、ブランド名や、売っていたらしいお店の情報らしきものがあります。


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「AMERICAN CLIP」がメーカーで、「ACCO」はブランド名でしょう。
「STENO BOOK HOLDER」が商品名ですね。

Patented Augusut 21st 1917 は1917/8/21に特許を取得したということ。
ちょうど100年前!

スタンプを押した紙の数字「26」は1926年でしょうか。
購入年なのかな。


同じタイプのものが3個セットで売られており、
中の一つに写真のような説明書もついています。

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上についているバーは紙を抑えるもので、
バインダー自体をバンドで止めて立たせることもできるようです。

右端にボタンで留められるバンドがついています。
立てないときはその面にボタンで留めて固定しておきます。

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立てる時は、表紙を後ろに回して、そちらにボタンで留めます。

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するとこんなふうに立ちます。

上の金具は記入するためのパッドを固定するようにできています。


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左右に先端が鋭い金具がついているのは見えるでしょうか。
(写真がよくないですね、スミマセン)

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こんな感じです。

こちらにパッドをグサッと刺します。

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グサッ!

右側はスライドできるのでスライドさせて間隔を広げて

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グサッ!!



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と刺します。

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と、こうなります。

そしてこのバインダーの用途ですが、立てて使うことから「タイピスト用では?」という
ご意見や
商品名が「Steno(速記) Book Holder」とあることから
「速記者が速記をしてそれをタイプするときに使うもの」だろうというご意見をいただきました。

なるほど、確かにそれがぴったりくる!

ということでその意見採用です。
ご意見くださった皆様ありがとうございます。<(_ _)>

このバインダー、とてもよくできていると思います。
ページをめくっておくバーは、
バインダーを綴じているときは特に気にならないし
バンドとボタンで立たせる仕組みなんかは今のバインダーにあっても
いいのではないかと思いました。

イベント会場とかでそのまま看板代わりに使えますよ。

デザインもビジネス仕様らしくスッキリまとまってますし、
機能的なカッコ良さがあると思います。

でも、見かけない物なので
多く使われたものではないようです。

対象がピンポイントすぎたのか
使ってみると、さほど使い勝手はよくないのか。


とは言え、100年前に考案された、ごく一部の用途をターゲットとした職業文具。
機能やデザインだけでなく、使われていた状況が目に浮かぶような物になっているところが
興味をそそられます。



皆さんのお仕事には、そのお仕事の人しか使わないような
「職業文具」、ありますか?