輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

針がなければ作ればいいよのホッチキス Sun Stapling Machine

なかなか珍しいホッチキスを手に入れた。

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土台に針を曲げるところがあるのは、現代のホッチキスと同じだ。

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だが、針を打ち出すところは何やら複雑な形をしている。

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特許取得の刻印があるのだが、失敗したらしく文字が重なってしまって読みづらい。
どうやらアメリカで1898年、イギリスで1897年のようだ。


これはどういうものかというと、専用のホッチキス針が要らないタイプのホッチキスだ。

「針なしホッチキス?」
いや、そうではない。このブログのタイトル通り「針を自作するホッチキス」なのだ。

使うものは虫ピン、、、虫ピンがわかってもらえない気がするので
一応紹介すると、こういうもの。

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なぜ虫ピンというか、正確なところはわからないが、
昆虫採集の際に、虫に突き立てるピンのイメージがある。
この虫ピンは昔はオフィスでモノを止めるのに使われていたようで、
クリップや画びょうと同じような容器に入って「事務用品」として出てくる。

この昔のオフィスに普通にあったらしい虫ピンを針にしてしまうワイルドなホッチキスなのだ。

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針をセットする。
虫ピンも色々なサイズがあるが、一般的なサイズの虫ピンにぴったりの幅だ。

虫ピンをセットしたら下に紙を挟む。

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そして、思い切りよくハンドルを下す。

「バシッッ!」
と音がして、虫ピンの頭と先端は切断されて飛び散る。
(この点は正直言ってかなり危険な道具だ。)

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切断された虫ピンの頭と先端。
ちなみに虫ピンは、曲がらないようにしっかりしたつくりの最近のものだと、
さすがに120年も前の道具では歯が立たない。

使っているのは、古い虫ピンで手で曲げられる程度の強度のものだ。

さて、頭と先端を吹っ飛ばして自作した針はどうなったのか。

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上から見ると、普通にホッチキスの針だ。

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裏側もしっかりホッチキスの針だ。

1890年頃、紙を綴じる方法をいろいろ試行錯誤していた時代の
「針、ピンで作っちゃえばいいんじゃん!?」と考えた人の発想がとても好きだ。

ちなみにこれと同じタイプの「虫ピンから針を作るホッチキス」がもう一台ある。


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これだ。
特許だけでいうと、こちらの方はが若干早い。
そして私のバイブルである「Early Office Museum」を見ると
この2つは同じ人が考案したらしい。
黒い方は「Sun Staplong Machine」、
四角い方は「Century Stapling Machie」というらしい。
これも「Early Office Museum」に記載されている情報だ。

なお、同様の「虫ピンから針を作るホッチキス」はハンディタイプもあり
それも持っている。

この3つの「針自作ホッチキス」はもう少し調べて
どこかで詳しく紹介できればと思う。

今日のところはこの辺で。


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