ライオン事務器さんの文房具おまけの話①(ホッチキスの針の缶)
2012年はライオン事務器さんに大変お世話になりました。
3月のブングテンで「ライオン事務器廃番コレクション」の展示をしたのをきっかけに、
昔の商品について詳しく調べていただいたり、資料を見せていただきました。
さらに、先日発刊されました220年記念広報紙では
武蔵小金井の古文房具店 中村文具店さんと対談させていただきました。
中村文具店さん http://nakamura-bungu.com/
そんなご縁でますますライオン事務器さんの商品が気になるのですが、
今年の締めくくりで、ライオンさん取扱いの廃番文房具について
2点こぼれ話的なアイテムをご紹介。
まずはホッチキスの針。
といっても正確には私が入手できたのは入れ物の缶だけです。
何これ?という感じですよね。
普通のホッチキスとは一味違う「ワイヤー式ホッチキス」です。
イラストの丸い部分に細いワイヤーが糸巻状態で巻いてあり、
レバーを押すと針金を切断し、曲げて針を作って差し込みます。
残念ながら本体も針も入手していません。
でもこれ、ちょっと面白いんです。
ライオンさんに限らず、日本の文房具メーカーは欧米の進んだ文房具をお手本にして
製品を作っていました。
「学ぶ」の語源は「真似る」らしいですから、
真似をして学習していたわけです。
このワイヤー式ホッチキスの針はライオンさんで保管されていたのを
見せていただいたことがあります。
見たときにすぐに「これはアメリカのBATES(ベイツ)社の物をお手本にしているな」と気づきました。
これと似たものがきっとあるはずだと。
そして数か月、まずライオンさんに見せていただいた国産の針の容器を入手、
それが上の写真です。
そしてつい先日、見つけました。
これがお手本ですね。
大変良くできています。
大きさは意外と違いました。
厚みも国産のが厚いです。
もしかしたらサイズがいくつかあったのかもしれません。
イラストを見る限り、本体のデザインは、結構違います。
ただ、このワイヤー式ホッチキスはBATES社が1930年ころから
70年代か80年代くらいまで作っていたようなので
基本的な構造はBATESのものを「お手本」にしたと思われます。
サイドのギザギザ模様もお手本通りです。
缶の裏はBATES社は印字がありましたが、国産の物は無地でした。
これは物まねと言えばそうなのですが、
このお手本に対する細かい再現ぶりは
なんというか、熱意と微笑ましさを感じてしまいます。
情報も技術も足りない中で
こうやって力をつけていったのでしょう。
ホッチキスの針の話は以上です。
もう一つのおまけの話は、次の記事でまたあらためて。