雨森式紙綴り器(ホッチキス)と林商店カタログ
スワン印に続いてのホッチキスの話です。
先日カタログを入手しました。
「林商店」という卸商のカタログで、主に謄写版と関連商品が掲載されています。
謄写版はあまり詳しくないのですが、
入手した理由は事務用品が載っていたから。
こんなものが載っています。
パッと見て「今でもあるね」「使ったことある」と思われた方もいるでしょう。
そうなんです、今でもあるんです。
このカタログはおそらく昭和9年のものです。
これが昭和9年のカタログに載っていることが驚きなんです。
他にもこの時代にもうあったの?と思ったものが。
ワイヤーステープラー。
アメリカでは古くからありますが、日本では戦後の商品だと思っていました。
この鳩目もほぼ同じ形ものも持っていますが
昭和30年くらいのものだと思っていたので
この時代にあったことに驚いた一つです。
ホッチキスはいくつか載っていましたが
前掲の「ジョイント」とこの「スマート」が気になりました。
「スマート」というとマックスさんの「ヤマコースマート」というホッチキスを思い出しすのですが
まだマックスさんの創業前の話です。
どこが作っていたのだろうと思い、
掲載されている特許番号を調べてみました。
この135296は昭和4年申請、155867は昭和5年の申請でした。
特許申請書を見て、「あっ!」と思いまして。
申請者が「雨森頴三」さんというかたなのですが、
マックスさんのホームページにある「ホッチキスの歴史」に、下記の記載があります。
「大正15年にはそれまでの鋳物製とは違い、プレス加工のジョイント(2号)が雨森文永堂から発売。その後1年程で、ドイツから3号の綴針が輸入され、昭和3年に3号針を使用するスマート3号がつくられました。」
(ホッチキスの歴史 http://wis.max-ltd.co.jp/op/h_story8.pdf より)
この「雨森頴三」さんが雨森文永堂なのですね!
それに、この形は現行品と変わらないのであまり気にしていなかったのですが
海外の製品でこの形を見たことがないことに気づきました。
もしかして日本オリジナルのデザインで、
鋳物から脱却した最初の製品で超ロングセラーということでしょうか。
雨森文永堂は今まで「ホッチキスの歴史」を読むたびに気になってはいたものの
何もわからないのでそのままになっていました。
現物ではないものの、その雨森文英堂の商品が載っているカタログを見て
テンションが上がります。
カタログは影のようなもの。
でも実体がなければ影はできない。
少し雨森文永堂のホッチキスに近づけた気がします。
大正時代に主流であった鋳物のホッチキスから、
おそらくこのタイプのホッチキスが出て来て、切り替わっていったのでしょうね。
このカタログのホッチキスの針は、まだムカデ針も載っていますが
現行品と同じタイプの針がメインです。
製造開始はもっと早いようですが、
時期的にこのカタログのころが一つの潮目だったのではないかなと
想像しています。
(特に根拠はありません。。。。)
知らなかったものの発見も面白いのですが
こんなに前からあったのか
と
このあたりから変わったのか
というのも好きなネタです。
なにげに買ったカタログで予想事情に楽しめました。
また、このカタログの「林商店」ですが
このマークに見覚えがありまして。
これですね。
ほら。ホースマークの謄写版が林商店ですね。
箱にも書いてありました。
今検索したら出てこなかったのですが、
割と最近まで営業されていた会社だと思います。
おまけ。
このカタログで、「これ、今あってもよさそうだけど」とおおったのが
この回転印。
しらないだけで、あるのかもしれませんが。
事務で使うマークが回転スタンプになってる。
ちょっと面白い!
というわけで、やっぱり紙資料は手に入れたほうがいい。
今回改めて実感しました。
紙資料、大事です。