輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

私のパワー文具。ヨハン・ファーバーNo4,ヘキサゴンリードとイーグルペンシル 荒仕上げ

あけましておめでとうございます。
2019年もよろしくお願いいたします。

今年の年始は、年末から続いている腰痛が治らず、実家に帰ったものの
自分のバッグや荷物を母に持ってもらって移動しているという情けない状態でスタート。
そんな私を見て、母は自分のほうが若いくらいだと思ったようで
「どっちがおばあさんなのかしらね」と笑っているので
母に笑いを与えられたということで、まぁ良しとしよう。

そんなパワーダウンしている私に丁度いい
パワーを与えてくれる文房具を紹介しよう。
もともと年始なのでパワー文具の紹介をしようと思っていたが、
本当にそのパワーにあやかりたくなった。

ちなみにパワー文具と言っても、
実際になにかご利益があるとか、磁力が組み込まれていて腰痛に効くとかではない。
なんというか、その文房具をつくった人のパワーを感じるというのが適切だろうか。


イメージ 1
まず、JOHANN FABERの鉛筆だ。
この帯は金箔キラキラでとても豪華で美しい。

イメージ 2
ラベルのサイドはこのデザイン。
JOHANN FABERはドイツのメーカーだが、ラベルがフランス語なので、
フランスで販売されていたものだろう。

イメージ 3

品番はNo.4。さて、この鉛筆の特徴は芯である。


イメージ 4

タイトルでわかった方もいるだろう。
JOHANN FABER No.4は「HEXAGON LEAD」、六角芯なのだ。
なお、写真は六角であることがわかりやすいように光る角度で撮影してるので
銀か白い芯に見えるが、通常の黒芯だ。

少し前にWinsor&Newtonの六角芯鉛筆をこのブログで紹介したが、
六角芯の鉛筆を束で手に入れたくてずっと探していたのだ。

イメージ 5

しかし、六角芯を作るのは相当難易度が高かっただろうに、
そして使用上のメリットはどう考えても無かったか、あったとしても大したことはなかったはずなのに、
なぜ作ったこれを。
そこにメーカーの技術力の自慢やプライドを感じるのだ。

「うちはこんなことできるぜ」

名前も格好いいではないか。

「ヨハンファーバー No4、ヘキサゴンリード」
この響きが好きで、頭の中でついつぶやいてしまう。

「ヨハンファーバー No4、ヘキサゴンリード!」

余談だが、A.W.FABERのNo4もHEXAGON LEAD、六角芯だ。
(No4 Dessinというのがあるが、それは普通の丸芯)

あれもフランス語のラベルだった。
もしかしたらフランスでこういったちょっと凝った鉛筆が好まれたのだろうか。

イメージ 6

A.W.FABERの四角芯はNo.5だ。
おそらく時代はどちらも1900年はじめの頃。
もしかしたら偶然ではなく、同じ製品ラインナップの続き番号だったのかもしれない。

イメージ 7

この六角芯と四角芯の束が並んているところを見ると
嬉しくなって、元気が出てくるのだが、
なかなかご理解いただけないところかもしれない。


さらにもう一つ被せよう。

イメージ 8
アメリカ EAGLE PENCILの鉛筆だ。

ラベル裏はこう。

イメージ 9

さて、これの芯は三角だったりするのだろうか、と思った方もいるかも知れない。
流石にそれはない。

イメージ 10
ほら、普通だ。
ではこの鉛筆の特徴はなにか。

イメージ 11

わかるだろうか。
軸全体に滑り止めのギザギザ仕上げがされている。
よく金属軸の筆記具で「ローレット加工」というのがあるが、
あれが木製の鉛筆に施されているのだ。

イメージ 12

これは六角芯よりは実用性があるが、いやこれも作るのは大変だっただろう。
正直どうやって作ったのかわからない。
鉛筆の形にしてからやったのだと思うが、
下手に力を加えると、中の芯が折れてしまうし。

なぜそこまで頑張った、これに。

そしてこれも時代としては1900年代初期頃だ。
これの元となっている鉛筆をカタログで見つけた。

イメージ 13

1911年の事務用品カタログによく似たものが掲載されている。

イメージ 14

イメージ 15

品番が817。持っているのが1817なのでおそらく817の後継モデルか、消しゴムの有無で品番が違うとかではないかと思う。
このカタログのイラストだが、よく見ると、ギザギザが表現されている。

イメージ 16

昔のカタログはイラストがとても正確で、これも他の鉛筆と軸の描き方が違ったので、おそらくギザギザ加工がされているタイプがあるのだろうと思って探していたら、本当にあった。

カタログの製品説明には「raugh finished」とあり、日本語に直すと「荒仕上げ」と出た。
あらっぽい感じに仕上げ加工をしているということか。うん、なるほど。


1900年初期、つまり100年前、欧米では普通の鉛筆は難なく作れるようになっていて、
他社と違う鉛筆を作ることにアイデアと技術を注いでいたのだろうか。
実際の筆記が困難と思えるような小さい鉛筆もおそらくこの時期に作られている。

その後、大きさや芯の形、軸の形ではなく、品質やリーズナブルさなど実用的な特徴に合わせた
売れる鉛筆作りへと移っていったのだろうが、
わたしはこの100年前のノリで作っていたような鉛筆達がとても面白いと思うし、作られた背景が興味深い。

実はこの時期のもので見つかっていない鉛筆もまだある。
地道に探して、またここで紹介できればと思う。



ということで、2019年も文房具にパワーを貰いながら
いろんな古文房具を紹介していこうと思うので
どうか引き続きよろしくお願いしたい。