輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

大正時代の電報用紙

5月3日 憲法記念日だ。

憲法にまつわる文房具、というものを特に思い浮かばなかったので、
憲法ではなく電報の話。

関係ないけど、雰囲気的にお堅い感じの文房具がいいかと思って。


大正時代の電報用紙を入手した。

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「電報用紙」「頼信紙」と名前は違うが、中身はどちらも電報用紙だ。

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どこのメーカー製品化は不明だが、どちらも鳥のマークだ。
電報用紙だけを作っているわけではないだろうが、
飛ぶように届くというか、電報と鳥の組合せのイメージは違和感がない。

中は複写式で、ほぼ使用済みなので、複写の1枚目というか上側の薄い紙だけ残っているページが殆ど。

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はっきり書くように、と間違えやすい文字についての注意書きが刷り込まれている。

そういえば、最近は電報を出すことがほとんどない。
祝電や弔電くらいは今もまだ出すものなのだろうか。


大正時代、たとえばこんなことを電報で送っていた。

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「前10時 女出来た。母子無事、安心あれ。法事行けぬ、頼む」
午前10時に女の子が生まれて、母子共に無事なので、安心してくれ。
法事には行けないので、よろしく頼む。

そういう内容だ。

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「伝見た。一人やれぬ、迎え来い」
電報を見た。一人だけでは行かせられないので、迎えに来てくれ」
という内容か。

見ていると、「イク」「ユク」という内容が割と多く、最初は「逝く」の意味でご不幸を伝えるものかと思ったが、
単純に長距離を移動する時の連絡手段が、電報だったのだ。


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見ていると、かなり破けているところもある。

ちなみにこの穴だらけの電文は
「昨夜無事着いた。安心あれ」だ。


細字のインクの文字なので、つけペンで書いていたと思われる。
カーボンを挟んで、下の厚紙へ移すように多少強めに書く必要があり、
そうすると、複写の上の紙が薄い和紙なのでぺン先に引っかかってしまうのだろう。

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今の時代、若い世代は電報を知らない人も増えているのではないだろうか。
急いで連絡するには電話やSNSやメールの方がよほど早くて正確だ。

それに気づき、昔はこんなことをしていたのだというのを
残しておこうかなと思ったのも、この電報用紙を紹介しようと思ったきっかけだ。

電報も電報用紙も、それに何で書いていたかも
完全に消え去ってしまう前に
ちょっと残しておきたかった。

あと、制服を着た電報配達員と配達に使う自転車、
それもセットで「電報」だったのだ。