輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

コクヨの複写式領収書

紙製品はあまり興味がなかったのですが、
コクヨさんの様式和帳について調べたとき、紙製品もいろいろ奥深いことに気づき、
ちょっと興味が出てきました。

そしてまたコクヨさんの紙製品。
今日は領収書です。

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まず、このマークだけでも持っておきたいですよね、これ。

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漢字表記のコクヨです。
昭和になって漢字からカタカ表記に変更したとHPにありましたが、
マークはこれで、横に「コクヨ印」とカタカナ表記もあるので
昭和初期くらいでしょうか。

ちなみに昭和3年の大阪文具新聞という冊子の広告では
はやり漢字マークに「コクヨ」というカタカナも使われていました。

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並べてみると微妙に違っていますが、、、。
まぁ同じ時代かと。



伝票に戻りますが、古い伝票は枠線が美しいです。

これも表紙のお花の絵もレトロでいい感じですが、中の枠線がきれいです。

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あと、「複写式」なんですよね。

今複写式の伝票は、上になる紙にカーボン機能がついているというか、
重ねて書けば下の紙に写るようになっていますが、
昔はカーボン紙をはさんでいました。

この伝票も渡す用の厚めの紙の上に薄い紙があります。

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この複写式というのはいつからあったんだろうとちょっと調べてみました。

「東京紙製品のあゆみ」昭和57年発行
(東京紙製品卸商業協同組合組合史編纂委員会)
によると

大正11年 上野池之端で大正博覧会が開催され、「島商店が複写簿を出品し優秀賞に輝いた
そうです。
で、この「島商店」が金鵄印、もう一つ「富士印」が東京で2大メーカーだったそうです。

ところがそこへ大阪から「コクヨ」が登場。

当時東京では「1冊60組」(正副合わせて120枚ということかな)が定番だったそうです。

複写簿の製造工程からすると当時品質を維持するには60組が
限界という認識だったそうです。

そこに大阪からコクヨさんが100組を引っ提げて乗り込んできて
東京のメーカーは「びっくり」したそうです。

コクヨさんの綴じ方は、東京の職人さんたちと違う綴じ方をしていたそうで、
それを契機に負けじと技術開発が進んだそうです。
(すみません、具体的な綴じ方の違いは読み取れませんでした)

出ました!コクヨさんの100枚戦法!
といったところでしょうか。

大正終わりころのことでしょうが
東京の職人さんたちが目を丸くするさまが
想像できます。

「てやんでぃ やってられっか!」なんてことを言う職人さんもいたかもしれません。(笑)
面白いですね。

ちなみに、手元の複写式領収書を数えてみましたが
とても数えづらいので正確ではないものの
100組は確認できませんでした。2回数えて95と96なんですよね。

今度もっと落ち着いてしっかり数えてい見ます。

ちなみに手元の領収書はホチキス止めのようです。

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このあたりの綴じ方も詳しくなると、
時代特定が容易になるかもしれませんね。


そしておまけの伝票。

このコクヨの伝票と一緒にあったものです。
なので同じくらいの時代のものと思われます。

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文字や枠がいいですね。

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KSというブランドは聞いたことがあるのですが、
調べられず。

なかは複写式ではなく、同じ紙面上に控えを書いて、切り取って渡す式です。

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複写できないと何度も書かなければならないため
大変でした。

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そして枠線、こちらも美しいです。

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綴じ方は、コクヨさんのと同じ、ホチキスです。
(写真が少しわかりづらいかな、すみません)


今まで、枠線や事態のデザインしか見ていなかった伝票類ですが
なかなか面白いです。


そして私の古文房具はさらにジャンルが広がってしまうのです。