もう一つのコクヨ
コクヨの紙資料を見つけた。
コクヨの紙見本か。
紙見本を見て紙の種類がわかったり、なにか語れる程詳しくはないが、
表紙や中に挟まっていた紙のデザインがなかなか良かった。
裏表紙はこれ。
なんか変だな、なんだろう。
カタカナ「コクヨ」になる前の漢字表記である「國誉」と書かれているが
國誉の桜マークもなければ、コクヨとなる前の社名「黒田黒光堂」の名前もない。
表紙をもう一度よく見ると、
日本紙業株式会社の名前があるが、その会社の商標らしきものは漢数字の「一」をあしらったデザインのもののようだ。
ちょっと話をそらすが
中身はこうなっている。
國誉の名前とともに、半紙の見本が綴じてある。
そして、中に挟まっていた紙。
「ペン、毛筆、鉄筆、使用において
従来の製品に見ざる優秀品」
「國譽インキ止め改良紙・薄葉紙発売」等々が書かれているが
やはりあの「コクヨ」ではないようだ。
コクヨの社史を見ると商標について次のように書かれている。
~大正3年、「黒田国光堂」に商号変更を行ったのを機会に、商標も「国光」にしようと考えたが、
既にほかで登録済みであった。そこでやむなく一時「国印」「光印」などで販売していたが、
大正6年に至り商標を「国誉」と改めることになったのである。
(「コクヨ.七十年のあゆみ」より)
ちょっと気になったのが、「改めることになった」とあるけど
どこにも「登録した」と書いてない。
それに商標の変遷の話や商標の画像はコクヨのサイトをはじめいくつか紹介されているが
「登録商標」と書かれているものが全くない。
もしかして、「國譽」の商標登録しなかったのだろうか。
調べようとしたが、古い商標は番号がわからないと簡単に調べられず。。。。
と、
何かわかるかと商標データベースを「コクヨ」で調べてみたら、あれあれ
平成の日付の出願で「コクヨ」の商標登録がごっそり出てきた。
(特許情報プラットフォーム)
あら、もしかして「國譽」だけでなく「コクヨ」も登録していなかった???
いやさすがにそんなことはないと思うが、、、、
昔のことは謎が多い。
そしてこの紙見本に挟まっていた紙には登録商標の画像がある。
番号が入っていないので確認が取れないが、
「登録商標」と書いてあるのでこちらは登録していたのだろう。
ただ、こちらは製紙メーカーのようなので
紙自体を作る製紙メーカーと
紙を使って文房具を作っていたコクヨとは多分分類が違うとかで
問題にならなかったのではないだろうか。
そもそもこの商標がどこのものかいまいちはっきりしない。
たぶん表紙の「日本紙業株式会社」が商品につけていた商標の一つではないかと思うが、
その日本紙業株式会社は製紙会社間の合併を繰り返し、今は日本製紙となっているので
簡単に調べられそうにない。
とにかくコクヨは一つではなかったらしい、
それがわかったというあたりでこの話は終わりにしよう。
あ!
Webマガジン「文具のとびら」の連載、「文房具百年」今月文更新されてます。
今月は「明治43年のカタログより」
ちょっとまとまりが悪くてガチャガチャしてますが
こちらもよろしくお願いします。