開明墨汁 スーパークーラ レモンライムソーダ
いつもお世話になっている骨董屋さんが
「これ、缶に入っている墨なんだけど」と
見せてくれた。
残っている値段のシールから130円がかろうじて読める。
巻いてある紙には田口商会の登録商標である梅鉢マークに「開明墨汁」の文字。
蓋にも開明のマークがついている。
骨董屋さんの言葉に続きがあって
「缶に入った墨なんだけど、紙をむいちゃって、そしたら・・・」
と言って見せてくれたのだが、巻いてある紙の下から出てきたものにびっくりだ。
あれ?
あれれ???
あら!
なんと!開明墨汁が入っている缶は「SUPER COOLA LE<PM&LIME
SODA」の缶だった。
え?え?え?どういうこと?再利用?でもこの飲み物日本で見たことない。
改めてよく見ると、ふたの形が変わっている。
王冠タイプだが、引き手がついていて栓抜き無しでも開けられるタイプだ。
レモンライムソーダの缶にも「SANITARY DRINKING TOP」と印刷されており
ふたが特徴であるように見える。
もしかしたらこの蓋を作る技術を持っている会社に委託したとかだろうか。
缶をもう少しよく見てみると、、
これはレモンライムソーダの成分。
この「Cantrell & Cochrane corporation」というのがメーカーだ。
そこで、この社名で調べてみたところ、19世紀から続く飲料老舗メーカーで、
どうもジンジャーエールを最初に作った会社とのこと。
商標は「C&C」。アメリア、カナダ、イギリスで主に売られているらしい。
ちなみに合併や事業の買収・譲渡を繰り返しているが今もある会社だ。
更に検索すると、このレモンライムソーダは1952年の製品という情報があった。
同じラインナップで他にもチェリーやオレンジ、コーラなどの種類があり、
これと同じ空き缶が販売されているサイトもあったが、130ドル(約14,000円)と
結構な値段だ。
130ドルは高すぎるにしても、「日本の液体墨が入れられていたC&C SUPER COOLA」の缶」となるとかなりのレアアイテムにになるのではないだろうか。
私が缶コレクターだったら飛びつくと思う。
海外オークションに出してみようか。(笑)
これと同じ缶の写真を見て、わかったことが一つ。
オリジナルの蓋は普通の王冠で引手はついていない。
ということは、この引手の付いたふたは日本で作られたオリジナルなのだろう。
梅鉢マークも入っているし。
すると本体のC&Cのレモンライムソーダの缶は、どういう事情で使うことになったのだろうか。
蓋が日本オリジナルだとすると、本体の容器は、口部分が同じ口径・形の容器で、
その上数かまとまっていないと都合が悪いはずだ。
そう考えると飲料として販売したものを再利用というのは考えづらい気がする。
もしかしたら、この飲料を日本で製造課販売しようとしたが、その計画が中断したなどで、容器だけ大量に余ってしまったのを買い取ったというのはどうだろう。
根拠なしの妄想だが。
こんな事を考えてみるのも面白い。
少し前にもブログで紹介したが、開明ブランドのユニークな製品が立て続けに見つかっている。
ユニークと言ってもウケを狙ったというのではなく、当時の工夫が今見るとユニークに見えるのだ。
ちなみに、以前紹介したにんじんかトマトジュースのように見える朱墨液。
田口商会 ジュースのような開明墨汁 - 輸入・廃番文房具の発掘メモ
今回この缶入り墨汁を持って来てくれた骨董屋さんは、
朱墨液を売ってくれた骨董屋さんと同じ方だ。
「あれ、まだあるよ」
ありがとうございます。一つで充分です!
また何があったらよろしくお願いします。