輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

最初の国産パステル「ゴンドラパステル」

文房具、というか画材の話だ。

パステル、というと「パステルカラー」を連想する人の方が多いかもしれないが、
パステルは画材の一種で、クレヨンとチョークの中間のような粉っぽいもので
とても柔らかいタッチの絵が描ける。

こういうものだ。

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踊り子の絵で有名なドガの絵はパステル画だ。

文研社の「文房具の歴史」によると
「17世紀頃にヨーロッパ」に登場した「乾燥絵具の粉末」で出来ているとのこと。

そして日本では大正2年文房堂さんが初めて輸入し、
国産のパステルは「大正6年」に「京都王冠科学研究所が作ったゴンドラパステルが、国産第一号」
とのこと
(文研社「文房具の歴史」より)

先日そのゴンドラパステルを見つけたので、
パステルの国産第一号」を忘れないように、ブログに記録しておくことにした。

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紙のカバーのようなものがあり
中に紙の箱が入っている。

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箱に貼られたラベルは「ゴンドラパスは柔らかくて、なめらかで、繊細で。。。」とはじまっており、
ゴンドラパスの優良さを述べているようだ。
なぜ英語なのかはわからないが、
日本語でないほうが画家の方たちに好評だったのだろうか。

そして最後の部分の記載は
「”THE CROWN” CHEMICAL FACTORY」
「王冠化学工場」だ。

あれ?工場?

と思って調べてみたら
「王冠科学研究所」が「王冠科学工業所」に一部社名が変わったようだ。

会社の創業が大正8年パステルを作ったのが大正6年のようなので、
会社創立時に「研究所」から「工業所」へ変更したのかもしれない。

なお、王冠科学工業所さんのサイトにも
日本で最初のパステルメーカーであることが記載されている。

というか、昨年「日本パステル画事始め展」なんて面白そうなことを
やっていたではないか!

あー見落とした。

ちなみに、この写真のパステルは大正時代のものではない。
これを骨董市で買った際の骨董屋さん情報によると元の持ち主は
日本画家の関山慶丸(よしまる)画伯とのこと。
私は存じ上げないが、インターネットで検索したら確認できた。

関山画伯は大正10年生まれなので、このパステルは
恐らくそう古いものではないだろう。
むしろごく最近のものであるかもしれない。



ちなみにもうひとつゴンドラパスを持っている。
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木製で金具で止める形のケースだ。

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蓋の裏の説明は最初に紹介したものと同じ。

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中はかなり使い込まれている。パステルは細く、一本づつ紙が巻かれている。
時代はいつごろか。
戦前か戦後すぐくらいか。

巻いてある紙やケースはかなり汚れているが、
パステルの色はとても鮮やかで
見ていると絵を描きたくなってくる。



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文房具に事務用品、画材も含めると多種多様なものが
現代で使われている。
そのどれにも「日本での最初」があるはずだが、
到底全部は把握できない。

でも分かったものは、覚えておこう。

日本国産第一号は王冠科学研究所(現王冠科学工業所)が作った
「ゴンドラパス」

よし、覚えた。