輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

木製コンパス+ステッドラー

今年になってからすごいもの(自分的に)が続いたので、
ちょっとほっこりするものを紹介。


木製コンパスを2種類。
まずはこれ。

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え、コンパス?三角定規だよね、これ。

はい、三角定規を利用したアイデア商品なのだ。

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「分廻しのエヌシキ」というものだ。
分廻しはコンパスのこと。

ぶんまわしのぶんは「文」だと思っていたが、
「分」の字を使う事もあったようだ。

エヌシキ、、、の意味はわからない。

そしてこの三角定規がどうコンパスとなるのかというと
こうなっている。


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コンパスの支点となる針と円を描く芯の部分を
金具で取り付けられるようになっている。

三角定規の目盛に合わせて直径を設定することが出来る、
というわけだ。

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こんな感じ。
コンパスはシューっと足が長くて、
先が鋭利で「かっこいい」文房具と思っているが、
このエヌシキ分廻しは足が短くてなんだか可愛らしいぞ。

それに意外と円を描きやすい。

金具は取り外せるので、
直角三角形の方にも
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取り付けられる。

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実用新案登録番号があったので、調べてみたら
大正9年の登録だった。

大正9年というと1920年なので、
今から98年前だから、大体100年くらい前のものだ。

100年たっているだけで大抵のものは「すごい!」という感じがするが
実はこんなお茶目な100年ものも結構あったりするのが
おもしろい。

そして説明書もついていた。

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分廻しの大王だそうだ。
なかなか新鮮なうたい文句である。
このなかで目を惹いたのは2番目のセールスポイント。
「生活改善」とはどういうこと?

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どうやら簡単に使えるので、父兄が幼い子供に縁を書かせる苦労が減る、という事らしい。
「学校の勉強を見てあげる父兄」という家庭感がこれまたほっこりする。

おまけだが、芯が入っている箱もなかなかかわいい。

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そしてもう一つの木製コンパスは、
フランスの子供用。
こちらはさほど古くない。恐らく1970年代あたりではないかと思われる。

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上につまんで回すところがないのは、
フランスのコンパスは皆そうなのか、
これがたまたまそうなのかは不明。

あまりフランスの学用品に注目をしていなかったので
機会があれば少し調べてみよう。

そして、このコンパスもかわいらしい。
足はしゅっと伸びているが、木でできておりカラフルな黄色というのもあるだろうが
おしゃれなコンパスである

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先についているのは細い鉛筆と、太い芯。
芯は白く粉が吹いたようになっていたので、チョークか石筆かと思ったら
鉛筆の芯だった。

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そしてもう一つ違うパーツがついている。
こちらはペン先をはめるためのものだ。

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こういう事だろう。
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ペン先は手近にあったのをはめた。ついていたのではない。

コンパスの記事をアップするのは久しぶり。
たまたま続いて木製のコンパスを入手したので、これは紹介しなければと。


と、思って昨日写真を撮っていたのだが
本日骨董市でもコンパスを入手。


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かなり油汚れが染みついていますが

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最初ペンケースかと思って開けたらコンパスがでてきてびっくり。

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このコンパス、全身総柄入りというとても華やかなコンパスなのだ。
アメリカのイーグルペンシルのカタログでよく似たものがあったのであれ?とおもったが
ちゃんとドイツ製。
ステッドラーと入っていないところが残念だが、
サイズぴったりのケースに入っていたので、間違いないだろう。

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そしてこの柄!

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「私、すごいんです」とコンパス自身が言い出しそうな模様入り。

正直、コンパスに全身柄タイツをはかせたようなこんな繊細な模様は不要。
だけどその不要な模様が入っているところがイイ!

古文房具はこういう商品アピールのエネルギーのかけどころが
面白いし、魅力だと思っている。