画材カタログより 文房堂と丸善
文房堂のカタログを手に入れた。A5サイズの小さなものだ。
文房堂は、東京の古書店街 神保町にある老舗の画材屋さんで、文房具も扱っている。
以前に大正時代の文房堂さんのカタログを入手したが、今度はもっと古い明治41年発行のものだ。
さて、文房堂さんはいつからあったのだろうとホームページを見ると
明治20年創業!
そして、神保町に店舗を新築しているので、このカタログはそれから間もないころのものだ。
ちなみに同時期のフランスの画材カタログを持っているが、表紙のデザインというか、雰囲気がよく似ている。
当時、洋画材料はほぼ輸入であったであろうし、カタログなども参考にしているのだろう。このおしゃれな字体だけでも、ずっと見ていたくなる。
話がそれたが、文房堂さんのホームページの「文房堂の歴史」を見て意外なことを知った。
創業者は丸善創業者 早矢仕有的と縁戚でともに福沢諭吉の門下生だったと。
そして創業時は早矢仕有的が経営していた書店に間借りしていたそうだ。
http://www.bumpodo.co.jp/company/history.html
そうだったのか。知らなかった。
ではカタログの中を紹介しよう。
最初に文房具が掲載されており、万年筆が数種類載っているのは
丸善との関係を踏まえてみるととても納得感がある。
携帯用のインク入れは、水雷型や、開いて使うものなど凝った形で面白い。
また、万年筆のページは、偶然かもしれないが、レイアウトが丸善の明治40年頃のカタログと似ている。
*丸善文房具目録に掲載されている万年筆。
もちろんカタログの中心は絵具などの画材だ。
文房堂と丸善の関係を踏まえてカタログを見たとき、一番「なるほど」と思ったのがこのページだ。
右側のピンクのページに「商品切手」とある。
「商品切手」とは今でいう商品券のことで、丸善が考案したものだ。
最初は社内用だったようだが、明治31年に発売している。発売されてから10年後とはいえ、丸善と同じようにカタログに商品切手が掲載されているところに
*丸善のカタログに掲載の「商品切手」のページ
文房堂のこのカタログと、これより少し前に発行された丸善のカタログを並べて見ると、
この二社が意外に近い関係にあったと感じるところがあるが、
よく見ると、商品は意外と重複がなく、違ったものを扱っている。
勝手な想像だが、文房具と画材という同じ商材を扱っていた両社は、
協力し合いつつも良きライバルだったのではないかな、
などと想像が膨らむ。
それから、このカタログを入手する少し前に、Web連載「文房具百年」が更新された。こちらも読む、、、いや読まなくても写真を見るだけでもアリだと思う。
「クレヨンと色鉛筆の境界線 ~クレヨンの話の補足~」
https://www.buntobi.com/articles/entry/series/taimichi/010919/
この文房堂のカタログは、「私にも何か載ってるかもよ」と言わんばかりのタイミングで私のもとにやってきたが、残念ながらクレヨンに関する情報はなかった。
だが丸善との関係性という情報を知るきっかけになったのと、明治時代の文房具が掲載されている、それだけで十分だ。