軸には美しい字体でH.O.STICKと刻まれている。
にゅうっととても長い鉛筆だ。
写真下のしましまの鉛筆が普通の長さなので、スティッキ部分も合わせると倍近い長さになる。
トンボ鉛筆のスティッキ鉛筆の存在は知っていたが、
こんなに長いと思わなかった。
この軸の色にセルロイドの飾り、軸の美しい字体
大正時代のレトロで華やかな雰囲気をまとっている素敵な鉛筆だ。
さて、この鉛筆を入手して間もないころ、
たまたま海外オークションで見つけた1本の鉛筆。
youtubeを開くつもりが間違えてオークションのリンクをクリックしてしまい、
開いた途端目に飛び込んできたのがこの鉛筆。
長いスティッキ型の鉛筆。
これはトンボ鉛筆が輸出していたのかと偶然の発見に色めきだつ。
それがこれ。
J.S.STAEDTLER 「LUNA」
LUNAはラテン語で「月」を意味する。
ステッドラーの鉛筆にMARSと同様によく出てくるマークである。
ステッドラーさんの方が頭一つ長く、軸も若干太い。
日本人とドイツ人って感じで、この違いに1人ニヤッとしてしまう。
さて、この似たものスティッキ鉛筆達はどういう関係だろう。
このスティッキ鉛筆、トンボ鉛筆のサイトによると
「チャップリンの短編喜劇映画の流行ともあいまって一大ブームを起こし、爆発的な人気を博した。」との記載がある。
チャップリンはドイツでも流行っただろうか。
そんなところから偶然に同じようなものができたのか、
どちらかがもう片方を参考にしたのか。
そう思う人が多い気がするが、私は必ずしもそうとは言えない気がしている。
アメリカンペンシルの方が年代が後になる。
少なくとも私が持っているものは。
類似性の高い商品同士は、少し変えてあるところの無理やり感や
巧妙さが楽しいとともに、「あれ、これアウじゃない?」という感じが
当事者ではない身からすると面白い。
ただ、古い文房具を見てきて感じるようになったのは
古い時代、類似品を作った根っ子にあるのは
悪気よりも憧れだったのではないかということだ。
だから私はこれを「偶然ドイツと日本で同じようなものができた」か
類似品として作られたのだとしても
どちらが先かはわからないし、どちらだとしてもそこには憧れと尊敬があったと
思いたい。
おまけだが、トンボ鉛筆のスティッキ鉛筆にあこがれて、
スティッキ型の筆記具を探していた時期がある。
何年も前だが、その時に見つけたこんなものもある。
とても細い鉛筆に、スティッキの柄がついているドイツ製の鉛筆、
これも時代がわからない。
スティッキ鉛筆いろいろ。
なんだか楽しげだ。