輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

無針紙綴器(針なしホッチキス)伊東屋販売品

ああもう、やらなければならないことが遅れまくっているけど、
文化の日で文具の日だし、いいかげんブログを更新したいので、
今日はブログを優先する。

今日のネタはずいぶん前に写真だけ撮ってそのままになっていました。撮影日付を見たら7/30!
3か月も経ってしまいました。


無針紙綴器。
日本製で実用新案登録は大正時代。
このブログでも過去にご紹介したことがありますし、
ホッチキスの展示の際にはよくご紹介しているものです。

なぜ改めてこれを紹介するのかというと、
箱に入っておまけに伊東屋さんの包装紙にくるまった状態で
入手できたんです。

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箱!伊東屋さん!!
これはすでに持っていても入手したくなりますよ。

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包装紙はかなり傷んでいますが、
この封緘ラベル!
!!
「!」を無意味に連発しちゃいます。
ステキですねぇ。


さてさて、
包装紙をそぉーっと外して
まずは箱の写真を。

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表記は全部英語です。

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「NICKEL COATED METAL」がかなり強調されていますね。
この「N」モチーフのマークも
NICKELのNではないかな。

実用新案登録の番号もしっかり入っています。
ちなみにこれは大正7年の登録です。

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裏面には英語で商品説明。
ピンも針もなしで8枚まで止められる道具だよ、ということが
書かれているようです。

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そして底の部分に
「15-8-7 求」
と。
これは15年8月7日に買い求めたということですね。
入手したものはできるだけ年代を特定したいタイプなので
こういう記載は大歓迎です。

とはいえ昭和15年か大正15年か、どちらでしょうか。

気になったのがニッケルのアピールが強いこと。

日本におけるニッケルの歴史を見ると昭和8年から12年にニッケル硬貨が作られていたり
昭和15年から20年の間に採掘がおこなわれていたりしたようです。
そうすると昭和15年というのがしっくりくるようです。

ただ、大正時代のこの製品にニッケルが使われていなかったのかというと
そこもはっきりしないのです。

とにかくその「NICKEL COATED METAL」の無針紙綴器のご登場です。

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ピッカピカです!。
そして本体に裏表ともに何も刻印されていない。

あと、上から押すハンドルもプラスチックのような素材です。
(字体的にプラスチックではなくベークライトであろうと教えていただきました!)

このあたりの質感からみると大正ではなく、昭和15年の可能性が高い気がします。

とすると、大正7年に実用新案登録されて、販売されていた無針紙綴器は
昭和15年にまだ販売されていたということですね。

古い文房具が「いつから」あったのかというのは前から興味があったのですが
最近「いつまで」あったのかも気になるんです。

スタートは古くても意外と長く残っていたものもたくさんあるんですよね。



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前から持っていたものと並べてみました。
といってもこちらもいつのものなのかははっきりしませんが、
ぴかぴか具合はかなり差があります。

おそらくぴかぴかのほうが新しいものでしょう。

そしてなぜ商品名やPATENTの番号を入れなかったのでしょうね。
箱の表記が全部英語というのも気になるところで、
輸出用とかおみやげ用を想定していたのでしょうか。


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横から見ると、ぴかぴか君は嵌め合わせる仕組みのようですが
前から持っていた方は一体型というか
上からかぶせるような形状です。

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ぴかぴか君もちゃんと動くか試してみます。

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若干切れ味は鈍いのですが、
まぁ使えます。

そして底にはやはり

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購入日がしっかりと書かれていました。

この持ち主の方、あちこちに買った日を書いてあるし
ぴかぴかだし
包装紙がついたままの箱に入れて保管していたしで
とても大切にしていたような気がします。


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なんだか、包装紙や箱付きで出てきたので
いろいろなことがわかりそうな気がしましたが、
明確に分かったことは殆どありません。

どうやら昭和15年にもこれが売られていたのではないか、
くらいですね。それも重要な情報ですが。

とはいえ、これをネタにあーだこーだ調べてみるのが楽しかったり、
そんなこんなで身に付くカンと知識があったり。

古文房具、いろいろ楽しめます。


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