軍用チョークと銀座トリコロール
骨董市で紙製の小さな箱を見つけました。
手のひら位の大きさです。
手に取って開けてみました。
中にはピンクと水色の細身のチョークが3本づつ。
おや?これ、知ってる。
昨年の2月に京橋のモリイチさんで展示をする際に見つけた軍事用のチョーク
「キットパス」と「homareチョーク」にそっくりなんです。
右が武揚堂さんの「HOMAREチョーク」
箱の大きさやケースの形、チョークの色合いなど少しづつ異なりますが
「ピンクと水色3本づつ」
「平たい箱で、チョークが折れないように腰高になっている」
「細くチョークのように粉っぽいものである」
この特徴が共通しています。
そしてこの「キットパス」「HOMAREチョーク」は軍で地図に書き込む為のものとして
作られたものです。
(・・・詳細はコチラを→ https://tai-michi.hatenablog.com/entry/16284292)
キットパスもHOMAREチョークも手放してしまったので
今回見つけたこのチョークと一緒に並べてみることができないのですが
この特徴からすると、まず間違いなく同じ種類、つまり軍用のチョークと言えるでしょう。
ただ今回入手したものは箱が無地でメーカーさんなどわかりません。
考えてみれば軍用なのであまり目立つラベルなどが貼られているのは
危険ですよね。
より実用的につくられたものか、
貼ってあったラベルをはがした状態かもしれません。
中のチョークに何か情報はないかと取り出してみます。
フランス語が書かれた紙が巻いてあります。
あれ?フランス製?
実は買うときにこの「フランス語が印刷されている紙」に気づいて
輸入品か聞いたところ、日本のものを扱っている骨董商から出たので
日本製だと思うと教えてもらいました。
ではこのフランス語はなに?
広げてみます。
銀座トリコロール!
銀座の老舗喫茶店です。
行ったことはありませんが、名前は知っている有名店です。
やはりフランス製ではなく日本製でした。
とは言え、軍事用のチョークになぜ銀座の喫茶店のお菓子の包装紙が。
勝手な想像ですが、
この軍用チョークがあまり使われないうちに
戦争が終わったのではないでしょうか?
これを使っていた陸軍の将校さんが退役して家族の元に戻り
使わなかったチョークを小さな娘さんにあげました。
「細くて折れやすいから気を付けて使いなさい」
「それなら先日おみやげで頂いたトリコロールのお菓子の包み紙を
巻いておきましょう」
そんなことがあって、今こういう状態で残っている、というのは
無理があるでしょうか。
でもそうだといいなぁと思います。
この包装紙がいつの時代の物か、
戦後トリコロールはいつ頃からお店を開けられたのか、、
などなど裏付けなしで言っています。
でも戦うためのチョークが、70年も経ってから
甘いお菓子の包装紙に包まれて出てきたのはどこか微笑ましいことですし
それならお菓子の包装紙を巻かれることになったのも
微笑ましい話がいいなと思うわけです。
今でも営業しているお店です。
今後銀座に行ったら、寄ってみようと思います。