輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

伊勢吉帳簿店 罫引見本帳

少し前に嬉しいことがありまして。

1年ほど前にアップした伊勢吉帳簿店さんの記事に、
御親族の方からコメントをいただきました。

見てくださったことが、嬉しかったので同じ伊勢吉帳簿店さんの
罫線見本帳をご紹介しておきます。

イメージ 1


かなり使い込まれたもののようです。

イメージ 10



冒頭には、「いつもありがとうございます」に続いて
「帳簿は必要だけど、簿記法は知らない人にとってはよくわからないですよね。
 でもうちは、熟練者もいて使いやすい帳簿をいろいろ作っているよ」
「種類は多いけど、欲しいタイプのものが無かったら作るから言ってね」
そんなご挨拶がかかれているようです。

これいつ頃でしょうね。
明治時代という事しかわからないのですが、
Wiki先生によると、簿記という言葉が使われ出したのは
明治20年以降のようなので、きっとそのあとですね

イメージ 11



取引の仕方と目次です。
右ページの最後に「うちで作った帳簿は使用中やその後の保存中でも
綴じたところが緩んだら、直しますよ」
と言っていますね。

こういうちょっとした記載に、当時の取り扱いが分かって興味深いです。

イメージ 2

この見本帳で意外だったのは、フォーマットが縮小版で掲載されていたことです。
多分当時の伊勢吉帳簿店さんで取り扱っていた全フォーマットだとおもうのですが
縮小コピーがない時代に
どうやって作ったのでしょう。

イメージ 3

こんな感じでたくさん載っています。
後ろの方は1ページに4つと少し大きく載っています。

イメージ 4

一つ一つの見本はとても精巧です。

イメージ 12


よく見ると、「明治」と書いてあるものもあって
明治時代ということがわかります。

イメージ 5

微妙にちがう種類の物が延々と載っており
全部で125種類ありました。

イメージ 6

これは手形管理用でしょうか。
実物はA4くらいの大きさなので
文字などもそこまで小さくはないでしょうが、
見本帳はとても細かい字と線です。

イメージ 7

見本と関係ないのですが、
最後の方に、元の持ち主が「俄然」の練習をしているんですよね

イメージ 8

最後のページです。
新しい形の罫線で作るときは
型代はサービスするよ、という事でしょうかね。

版木とあるので、一つ一つ職人さんが掘っていたのでしょうね。

そしてここにも「俄然」・・・

イメージ 9

そして「俄然」

下に小さい字で何か書いてあるのですが
達筆で読めません。
「俄然」に負けてますし。

ということで、人形町の伊勢吉帳簿店さんの
明治時代の資料のご紹介でした。

また、ご血縁の方が見て下さったら
嬉しいです。


しかし、、、「俄然」どうしたのかが
どうにも気になります。