輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

A.W.FABER 謎のゲージ

よくわからないものでも、なんとなくいい雰囲気を醸し出しているものは
入手したりします。

正確には「よくわからないものこそ」
かもしれません
そういうものほど、実は面白いものだったということが
後日わかることもあるので。

先日手に入れたのは
「A.W.FABER'S GAUGE」
「FOR EVER POINTED PENCILS」と刻まれたプレートに
金属製の鍵束というかねじ束というかがぶらさがった、
なんかそんなものです。


イメージ 1


微妙に太さが違うピンのような形のものがプレートの穴から
下がっているわけですが、
穴の上には数字が入っています。

イメージ 2

イメージ 3


この数字が小さいほど棒状の金属が太いようなので
最初インチを割算する母数かと思ったのですが、
よく見ると、数字の大きさと金属の太さが
比例も反比例もしていません。

例えば上の写真では「6」と「50」と「102」が並んでいますが、
その穴に下がっている金属の太さは
あまり差がありません。

そこでツイッターFACEBOOK、インスタグラムに
「これなんでしょうか?」と投げかけたところ
繰り出し式シャープペンシル
芯ホルダーの芯の太さを表しているものだろうというご意見をいただき、
自分としてもまぁそんな感じかなと思いつつも
いまいち腑に落ちないんですよね。

ちなみにあまり参考になりませんが
プレートの裏側は何もありません。
表の刻印が少し裏抜けしているだけです。

イメージ 4


手持ちのFABERの2ミリ芯と太さを合わせてみました。

イメージ 5

「6」か「50」がちょうど同じくらいに見えます。

イメージ 6

ほら。大体近いでしょう。


これについては、ここまでの確認で終わりかなと思ったのですが、
意外なところから情報をいただきました。

インスタグラムのフォロワーさんが
ここに載っていますよ、と教えてくれたんです。


メリークリスマス!
この記事は25日に書き始めました。

クリスマスに関係のあるネタではないのですが
インスタグラムのフォロワーさんからいただいた情報は
私にとってクリスマスプレゼントのようなもの。

教えていただいたのは、
「ヒューストン大学の蔵書の中にA.W.FABERの1897年の
 プライスリストがあり、そこに同じものが掲載されていますよ」

という情報。

これです。


まずこのゲージについての情報が有り難く、
さらに1897年の資料がネットで見られるなんて!

移動中でしたがニヤニヤしてしまいました。
教えてくださった方に感謝です。

ゲージに関連しているのは
下記リンクのページとその前後


で、このゲージは何かというと、
やはり芯の太さを表しているようです。

プライスリストを見ると
いろいろな太さの芯のアソートセットなる商品があり、
それとセットされていたもののようです。

どの芯が合うか、芯を入れる筆記具にさしてみて
確認するために使ったと思われます。


しかしながら、謎の数字はサイズを表しているようですが、
この不規則な数字の意味は分かりません。
プライスリストの255ページには「asort size」として
そのままの数字が記載されています。

この多数、かつ微妙な違いの芯の種類を
セットで販売していたのか
店頭に並べていて、単品で売られていたのか

そのあたりもよくわかりません。

でもこんな風にプライスリストに載っていたところを見ると
それなりに力を入れた商品だったように思います。

こちらを教えてくださったフォロワーさんの情報ですと
A.W.FABERのNY出店が1894年、
その3年後のというのは
NYでいろいろな商品を打ち出していたのでしょうか。

なぞは残りますが
120年前のA.W.FABER NY店が少しリアルに感じられるようになりました。