輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

舞踏会の手帳用?優雅で小さな鉛筆セット

4年前にとても小さな鉛筆について記事を書きました。
(・・・写真が汚い・・・(^_^;) )

その後もこの海外の「小さな鉛筆」を少しづつ集めていましたが
余り紹介していなかったですね。

そんな中、先日とても小さく、箱のデザインもすてきな鉛筆を入手しました。

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A.W.FABERの鉛筆で、専用のホルダーもついています。

今までこういった小さな鉛筆は何種類か手に入れたのですが、
ホルダーがついていないことが多く、
またホルダー付はどうしても高くなってしまうので、
地道に手が出る範囲のものを探していました。

あとこの箱のデザイン、以前見かけてとても惹かれたのですが
やはりその時は手に入れら無かったものなので
今回手に入れることができ、一人でニヤニヤしています。

元は12本入っていたのが何本か減っているのは
使ったのか、無くしてしまったのかもしれませんね。

そうそう、この鉛筆のサイズ感をお伝えしなければ。
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これくらいです。
ざっと測ったところ、太さ3ミリ、長さ5センチくらいです。

普通の大きさの鉛筆と比べるとこんな感じです。

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普通の鉛筆は半分くらい使ったものですが、太さを比べると
小ささが少しは伝わるでしょうか?

これはいつ頃の物かというと、
箱の裏にこんなあとが残っていました。

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1928,×××(読めない),25
でしょうか。
後ろの方は読めないのですが、1928年に買ったものではないかと思われます。
日本は昭和3年、今から89年前です。

約90年間、よくきれいに残っていたものです。
きっと大事に保管されていたのでしょう。

こんなラベルもついていました。

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フランス語だと思うのですが、Google先生で訳しました。

Librarie   書店
Papeterie  文房具
Fantaisies  気まぐれ

本や文具、その他いろいろを扱っていたお店ということかと。

「L.DERAMERE」が店名でしょうか。

「21 r.Beauvoisine ROUEN」は住所のようで、
今もこのお店があるか調べてみましたが、残念ながらすでになくなっているようです。

住所からするとここになります。
街中の商店街のようです。
残っていたら素敵なお店だったろうな。


さて、鉛筆自体のご紹介をしましょう。

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この細い軸に「A.W.FAber」と刻印するのは、難易度が高いと思うのですが、
きれいに捺されています。






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鉛筆は、後ろの部分がねじのらせんが刻まれています。
3ミリの軸にこの溝を付けていた事に驚きます。

このねじをはめる先は専用ホルダーです。

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鉛筆を固定するために、ホルダー側にもねじの溝がついています。

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嵌った!

このままでは長いので、軸の金具をスライドさせて
長さを調整して使います。

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こんな感じ。

細い鉛筆ですが、木がしっかりしていて、普通に使う分には
簡単には折れそうにありません。
さらにこのホルダーを使えば、扱いやすいし長さも調整できるので
意外と実用性は高かったかもしれません。

ホルダーの後ろにリングが付いているのは
携帯するときに鎖などを通していたのでしょう。

この細い小さな鉛筆の類は舞踏会の手帖用鉛筆らしいです。

舞踏会の手帖とは、舞踏会の最中にダンスの相手をメモするとても小さなメモ帳です。
それに合わせたサイズの鉛筆や芯ホルダーがいろいろ存在していたようで
これもその一つだと思います。

日本では縁遠い話ですが、使われてた場所や使っていた人の事を想像すると
優雅な気持ちになります。

それにこんなに小さな道具を使ってまで、メモをしたかった人が多数いるという状況も
面白いと思うんです。


ところで、この鉛筆、私が持っている中でももっとも細い部類に入りますが
以前から持っていた他の細い鉛筆と比較してみました。

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上が今回の鉛筆、下が以前から持っていたJOHANN FABERの鉛筆。

写真だと若干JOHAN FABERの方が太く見えますが
うーん、ほぼ同じかな。

あとこちらは太さはほぼ同じですが長さが違うLYRAの鉛筆
(以前にもご紹介しました。→ http://blogs.yahoo.co.jp/tai_michi/14212972.html

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長さは半分くらい。こちらはねじの溝はなく、ホルダーへ差すだけです。

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スライドする機構はついていないので、使わないときは逆さまにしてホルダへはめ込みます。

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そして今回写真を撮っていて気付いたことが
何か書いてあるんですよね。


もしかして年月?購入日?と盛り上がったのですが。。。


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読めません。
あと桁数からすると日付ではないみたいです。

残念。

こういった鉛筆は、今まであまりご紹介してこなかったのですが、
昨年の骨董ジャンボリーの展示に出しました。

余りの小ささに「お人形用鉛筆」とおっしゃる方もいましたが
いえいえ、オトナの人間が使っていたものです。

所有している私ですら、久しぶりに見るとその小ささにハッとするものなので
どこかで機会があれば、いろいろな方にもっと実物をお見せしたいと思うのです。