例えばこれ。
今ほど万年筆のできが良くなかった時代、飛行機に乗ると気圧の関係でインクが漏れてしまうことがよくあったそうだ。
それによる服や持ち物がインクだらけになるという大惨事を防ぐため、機内で万年筆を入れておく袋というものがあった。
写真はアリタリア航空のもので、昭和30年頃らしい。
透明のビニール袋に万年筆のイラストの紙が入れてある。
両面イラストは同じだが、片面3ヶ国語、両面で6ヶ国語で説明が描かれている。
サイズは割と小さめなので、普通のサイズの万年筆だとすっぽり入るのではなく、先端を入れておく感じだ。
ついでにこの袋と一緒に機内で配布されていたと思われるリーフレット類もセットで入手したが、
なかなか可愛らしいデザインだ。
左上は、機内食のメニュー、左下はご意見レター、右から二番目は、キャビンアテンダント(当時はスチュワード&スチュワーデス)のサービス案内、一番右はこれらを入れているフォルダだ。
飛行機搭乗用にこういう袋があったということを知ったのは割と最近だ。
何かに載っていたのをみたのだが、何を見たかは覚えていない。
そのことが頭の端に引っかかっているうちに、JALの「万年筆の袋」を見つけることができたのはラッキーだった。
それがこれだ。
昭和20年代のものだ。
この袋一枚で、万年筆の性能が今より劣っていた時代があったということがわかる。
こういう時代の影のようなものは、存在自体が面白いのと
すでに現役のステージから降りているので、完全に消えていく前に保護しておきたいと思うのだ。
裏面はアテナインキの広告だ。
サイズはアリタリアのビニール袋より大きく、万年筆がすっぽりと入る。
当時は普通に使っていたものだろうが、今となっては貴重品である。
資料に見えない資料ほど、誰も保存していないのでたいてい捨てられてしまっている。
全日空のはどんなデザんだったのだろう。
ルフトハンザやエアフランスはかっこよかったりおしゃれなデザインだったのだろうか。
気をつけているといつか出会えるかもしれない。
出会いたいものがまた増えた。
それは楽しみが増えたと言うことだと理解して、
また地道に探してみようと思う。