輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

DIXON 先細鉛筆消しゴム(TAPERD PENCIL)

消しゴムが続いていますが、
ステキな消しゴムを入手しましたので
これは記録をしておかないと。

イメージ 1


鉛筆のように木の軸の中に納まっています。
このように四角い棒状の消しゴムで、四角い木の軸に
収まった鉛筆のような消しゴムはいくつか持っているのですが
これはまたちょっと形が違います

イメージ 2

端の太さが違っていて
消しゴムが出ているほうは太く、反対側は細くなっています。

そしてその細いほうは鉛筆になっています

イメージ 3


こういうことです。

今でも鉛筆の後ろに消しゴムがついているのはよく見かけますが
軸の中に両方入れ込んでしまったタイプですね。

これが1ダース丸ごと手に入りました。

イメージ 4

太さが違うので、箱には向きが交互になって入っています。
鉛筆側は1本だけ削ったものが入っていました。
誰かが使ったのではなく、最初から1本だけ削って出荷しているらしいです。


イメージ 5


軸の色も綺麗です。
箱は外側は特に何も記載されていません。

イメージ 6

開くと中にDIXON TAPERD PENCIL TABLET SIZEと記載があります。
TAPERDは「先細り」という意味かな。

ERASERではなく、PENCIL何ですね。
消しゴムのほうが目立ちますが(それは私が消しゴム好きだから?)

まぁ、鉛筆あっての消しゴムなので
仕方ないですね。

というわけでこれを日本語に訳すと「先細鉛筆」となるのでしょうが、
消しゴム好きとしては消しゴムを無視したくないので
勝手ながら「先細鉛筆消しゴム」と呼ぶことにしました。


イメージ 7


木の軸には何も刻印されていません。
こういう木軸にはたいていメーカーや品番など記載されているので
何もないのは珍しいですね。

このちょっと変わった形をした先細鉛筆は
いつの時代かというと大体1900年初期くらいまでのものと思われます。

DIXONの1912年のカタログで探してみました。

全く同じものではないのですが、
「TAPERD PENCIL」が掲載されていましたよ。

イメージ 8


軸の模様は違いますが、2番目と同じ形です。
TABLET SIZE」という商品名も同じです。

余談ですが、3番目のやつの四角いのも消しゴムですよね、これ欲しいな。(笑)

あと同じカタログにこんなものも載っていました。

イメージ 9

細かいところは違いますが、箱のデザインがよく似ています。

なので、今回入手したこの先細鉛筆消しゴムはおそらく1912年に近いものではないかと思われます。

軸に何も入っていないのと、箱にも型番がないので
もっと古い時代かもしれないですね。




なお、このタイプは日本にあったのかというと、
情報が足りなくて何とも言えませんが、カタログなどの資料でも見たことがないです。

ただ日本にも鉛筆と消しゴムが一体となっているものがあり、
大正から昭和初期くらいまででしょうか、割といろいろなメーカーが作っていたようです。

イメージ 10





こういうものです。
一見鉛筆と変わりませんし、

イメージ 11


反対側は同じように鉛筆です。

イメージ 12

(芯が白っぽく見えますが、光の加減です。石筆ではありません)

この日本製の鉛筆タイプの消しゴムは鉛筆と一体になっているものこそなくなりましたが、
同じような木軸タイプの消しゴムはタイプライター用として
比較的最近までありました。

それに比べて「先細鉛筆消しゴム」のほうはあまり長くは使われなかったようですが、
それはそうですよね。
筆箱に収まりにくそうだし、
鉛筆で書く際に消しゴム側はかなり重くて書きづらかったはずです。

なんでこんな形にしたのでしょうね。


ちなみにDIXONオリジナルではなく、各社から同様の形で作られていたので
当時はそれなりに需要があったようです。

個人的には、この形の存在感というか「偉そう」な感じに魅力を感じるので、
一時期スタンダードであったというのは理解できます。

多少使いづらくてもちょっと使ってみたくなってきました。
ただ、残念ながら貴重過ぎで使ってみる度胸はありません。

イメージ 13


イメージ 14


【おしらせ】
6/18(日) みちくさ市ブングテン24で
消しゴムの展示をします。
(そんなこともあり、ブログも消しゴムを続けてみました!)


「消せない消しゴム展示」
劣化や、質の悪さや、貴重だからなどの理由で消せない消しゴムを展示します。

いろいろなところで展示をさせていただく機会がありますが
消しゴム中心なのはかなり久しぶりです。

そして、今回は100年くらいから30年くらい前までの消しゴムで消してみる
「消せない消しゴム体験」コーナーも作ろうと思っています。

劣化してしまった消しゴムは、手に取っただけで「こりゃ無理だ」という感じですが
そんなに古い消しゴムに触ってみる機会もあまりないと思うので
お時間ありましたら遊びに来てください。

イメージ 15