輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

Chicago 鉛筆削り

卓上の鉛筆削りというと、
このブログにはかなり個性的なものを紹介していましたが
たまにはシンプルな形ものをご紹介しようと思います。


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アメリカ製Chicago鉛筆削りです。

卓上の鉛筆削りは、いくつかの形のものが
明治時代の終わり頃にアメリカから輸入され、
日本でも使われました。

でも、広く使われたのはこのChicagoが最初だったと思います。

「Chicago」をそのままローマ読みして「チカゴ削り」と呼ばれたり、

(ここに「チカゴ削り」の広告を掲載する予定でしたが
 どうやら出張中の資料の中にあるらしく。。。見つけたら後日追加ということで)



そして形やマークまで真似て
国産のものが作られたりしました。

手元にあった昭和6年の大阪文具新聞を
パラパラとめくってみると

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ほら、「プール印シカゴ鉛筆削り」ですってよ。

ほかにも
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ほらほら、Chicagoのマークまでつけていますよ。
キャッチコピーがいいですね。
「明治の舶来、昭和の国産」

ほかにも探すと仲間がいろいろ出てきそうです。



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正面から鉛筆を指してハンドルを回します。

ただ、このタイプは机や壁、またはかなり重い木の台にネジで留めないと
足の部分が小さいのでうまく削れません。

日本製の「プール印」には固定するための金具が
広告の中に書かれていますね。

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上から見るとこんな感じ。

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後姿。
ハンドルを上にしているのは、私の好みです。
ちゃんとしたに下がります。

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Chicagoのマークが少しかすれていますが
セルロイド自体は割れ目もなくきれいです。

本当はセルロイド部分が黄色いものを持っていたのですが
当時の広告を見ると透明のものが主流だったので
同じものがいいかなと。

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このタイプは、本体とカバー(というのでしょうか、楕円形の部分)を持って
ひねると「ガコッ」と外れます。

ざっくりした使い方でとてもアメリカらしいですね。

中の刃は、今の鉛筆削りと
変わらないと思います。

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このころの工業製品はよく特許の取得年月日が
本体に記されています。

日本製品も出願番号や登録番号が記載されているものが多く
年代の特定に役立ちます。

この鉛筆削りは1900年の特許から始まって
最終は1921年まで記載されています。

だからと言ってこの鉛筆削りが1921年のものとは言えませんが、
もしこの鉛筆削りについてこの後も取得した特許がある場合は
それ以前に作られたものということがいえるでしょう。

知っている限り、この形の鉛筆削りの特許は1921年のものが最終だったようなので
いつ作られたものはかわかりません。

1921年頃に作られたかもしれない」鉛筆削り

と言っておくのが適当ですかね。


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この鉛筆削りは仲間がいます
同じメーカーの型違いというか
削れる鉛筆の太さがいろいろある「Giant」という鉛筆削りがあります。

こちらもセルロイドの透明感がきれいです。

写真を撮るときに置いた位置の関係で
Giantのほうが小さく見えますが、実際は同じくらいです。
あと、Giantは日本には入ってこなかったか、
さほど普及しなかったようで、
これをお手本にしたものは見かけません。


この2つの鉛筆削りの形は
アメリカでも複数のメーカーで作っていましたし
長く使われていたようです。

そのため少し探すと比較的容易に入手できます。
(お値段に対する価値観が合うかは別として  (^-^; )

削り方は今の鉛筆削りと変わりませんし、
形もそう特徴的ではありません。

反対に、この鉛筆削りが日本に来てから
卓上の鉛筆削りの基本型はほぼ変わっていないわけで
それはそれですごいですよね。

こういうものは、とりあえず敬意を表して持っておいたほうがいいかなと。

でもレアかそうでないかは別として
持っておきたいなと思う鉛筆削りです。