輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

米英のユニークなアンティークペンシルケース

子どもが学校に持っていくペンケースは、
ちょっと面白いところがあったほうが子供にウケる→欲しがる→売れる、
という図式の元、メーカーは色々と工夫をするようですが、
130年前のアメリカでも同じことが起きていたようです。


変わったものを入手しました。

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木の棒。。。に見えますよね。

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一方には木のプッシュボタン。

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もう一方は丸くなっています。

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さて、メーカーはアメリカの老舗鉛筆メーカ「イーグルペンシル」です。
特許は1887年2月に取得されたようです。

130年前!

これは何かというと、ペンケースです。

プッシュボタンを押すと先端のボールが動いて開くという仕掛けです。

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こんな感じです。

最初説明を読んだとき、ポン!と飛び出すのかと思って
かなりわくわく楽しみにして到着を待ったのですが、
130年前の素材と技術でさすがにそれは無理だったようで
ボタンを押すとぬるっとボールが動きます。


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仕掛けはなかに金属の棒が入っていて、
ボタンを押すことで普通にボールが押し出されます。

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鉛筆が中に入るのと、ボタンとボールがついている都合上、
やたら細長い、ちょっとしたこん棒のようなものになっています。

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鉛筆は2本くらいでしょうか。
消しゴムを入れると出すのが大変そうですが、
アメリカの鉛筆は消しゴムがついているタイプがスタンダードなので
消しゴム単体では持ち歩かないのかもしれません。

これを持っていた子は
自慢のアイテムだったのかが気になります。

「僕のペンケースはボタンを押すと開くんだぜ!
「おーすっげー!」

だったのか

「何だこの棒は?」
「ペンケース?だっせー」

だったのか。

ちなみにこのペンケースの持ち主はネルソン君です。
1890年に買ってもらったようです。

マジックでしっかり名前が書いてあるあたりが
世界共通という感じでいいですね。

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なお1913年のイーグルペンシルのカタログに
これは載っていませんでした。

ロングセラー商品にはならなかったようです。

大きなお世話ですが、ネルソン君がこのペンケースを学校で自慢出来ていたのなら
いいなと思います。



そしてもう一つ。
こちらはお子様用ではないと思われます。


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麺棒(パンや麺類などの粉を伸ばす棒)


ではありません。

家具の一部でもありません。。

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Cumberland pencilという会社が作ったようです。
CUMBERLANDはイギリスの湖水地方で、
鉛筆の芯の産地として有名です。
KESWICKも地名で、「PENCIL MUSEUM」があるところです。


そして反面には人の名前が刻印されています。

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ANNIE COLLONS アニーコリンズさんの物だったようです。

で、これはいったいどういうペンシルケースなのかというと
こうなっています。

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この木の棒の中に鉛筆が一本。
なお、鉛筆の反対側は「ふた」だけでしたが、匂いを書くとかすかにゴム臭がしたので
消しゴムがセットされていたと思われます。

余談ですが、鉛筆側の匂いを嗅いだら、いい匂いがしたんですよね
木の匂いなのか、もしかしたら香水を仕込んであったのかもれません。


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このように一本の鉛筆がぴったりと嵌る形態なので
最初に紹介したペンケースのように何本も入れることはできません。

それにしてもこの分厚い木。
磨かれた堅牢な材質で椅子といっても通りそうです。

これは鉛筆が折れない為でしょうか。
こんなに鉛筆に過保護なペンシルケースは
見たことがありません。

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写真で見たときは、鉛筆が小さいのかと思ったのですが
普通のサイズの鉛筆です。

このふたというかハンドルというかに固定されており、
着脱はできないようです。

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そして鉛筆にもアニーさんのお名前が刻まれています。


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カンバーランドペンシルの名前も入っています。

これが届いたとき、想像以上にモノが大きくて
「なんだこれは!?」と心で叫びました。

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この麺棒ペンシルケースは
ネルソン君のペンシルケースより大きく、
頑丈です。

一体これはなんなのでしょうか。
一般的に使われていたものなのでしょうか?

もしかして鉛筆がとても貴重な時代に
ここまで過保護にしており、
貴重なものとして名前を入れてプレゼントしていたのかとも思ったのですが
商品の説明に
「ROLLING PIN PENCIL CASE CIRCA 1916」
とありました。

1916年の根拠はわかりませんが、
その時代のものだとしたら、そこまで鉛筆が貴重なものではなかったはず。

では何なのでしょう。

昔のものの復刻なのか、おみやげなのかなど
頭の中にクエスチョンが飛び回ります。

分からないながらもっていると
いつか謎が解けたりするものですが、
どなたかこれがどういうものか知っていたら教えてください。

その立派さゆえに見れば見るほど不思議なモノです。