輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

軍用チョークの点と線

骨董市でいつも文房具を取っておいてくれる骨董屋さんが

私の顔を見ると、引き出しから何やら取り出してきました。
 
「これなんだろう?」
 
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汚れた布のようなものにくるまれた極太芯ホルダーのようなもの。
文房具にしては頑丈すぎる作りに見えました。
 
「なんだろう、建築用の線を引く道具かな」
 
手に取ってみると、布に見えたものは革で、名前らしきものも入っています。
 
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「GT海老沢」GTはなんでしょうね。
 
芯ホルダーのようなものは金属の金具でくっついており、
コンパスのように開きます。
 
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「そんなに古く見えないんだけど、どこから出ました?」
「机の引き出しに入ってたんです。」
 
机の引き出しは持ち主の数十年に渡るガラクタがたまるところなので
古いものと新しいものがごちゃ混ぜになっている困った場所です。
発見場所から時代の手がかりはないということです。
 
なんだろう、とおもいつつ中をのぞいてみると
 
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あ、これは!
 
この色に粉っぽい感じ。
これは戦時中、陸軍で地図に書くのに使用された軍用チョークにそっくりです。
ちなみにそれはこういうものです。
 
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細くてピンクと水色2色のチョークです。
箱に陸軍で使われたことが記載されていました。
 
骨董屋さんに、これはきっと陸軍で使用したチョークに違いないと
説明をしたところ
「なるほど、コンパスのように距離を測って使ったのかもしれないですね!」
と。
 
おお!確かにその使い方がしっくり来る!
 
こんな感じですかね
 
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そうか、そして消すときはしばりつけてある皮で拭いたんだ。
確かにチョークの色が残っています。
 
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すごい!すごい!
とても辻褄が合う!
喜ぶ私を見て骨董屋さんが
「点と点がつながって、線になった感じですかね」
 
はい、まさにその通り。軍用チョークの点が線になった感じです。
 
ありがとうございます。
とてもいいものを見つけることができました。
 
さて、帰ってきてさっそくブログ用に写真を撮っているとき
ふと、チョークに巻いてある紙に何か情報はないだろうかと思いました。
 
このチョークホルダーは本体の軸の所を回すと
チョークが出てきます。
 
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こんなふうに。
 
 
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軸を回してチョークを出していきます。
 
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何か書いてあります。
さぁ、何かわかるでしょうか。
 
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なんと、中に入っていたのは武揚堂(ぶようどう)さんのほまれチョークでした。
これはもう陸軍で使われていたチョークホルダー。
間違いないでしょう。
 
空想が事実に。
ちょっと鳥肌が立ちました。
 
前出のブログ記事を参照いただければわかりますが
武揚堂さんは地図を作っていらっしゃる会社です。
ほまれチョークを見つけて問い合わせをしたときに
過去にチョークを作っていた事を現在の会長様も御存知なく、とても驚かれていました。
 
確かにチョークと地図とは距離があると思ったのですが、
このチョークホルダーが登場すると
グッと距離が縮まりますね。
 
 
こんなものがあったこと、
武揚堂さんへ教えてあげましょうか。
 
きっと喜んでくださると思うんです。
 
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