輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

貯金局のリネオカード

リネオカードという機能的で洒落た感じのカードがあります。

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開いたところはこうなってます。

表紙は至って地味な黒い、ちょっと硬いつるつるした紙でできています。
ファイバー製というのでしょうか、プラスチックに近い感じの材質です。

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大正時代からあったもので、
かなり市販もされていたようですが、これは貯金局。。。今でいう郵便貯金でしょうか、のノベルティだったようです。

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開けるといきなり各国の貯金額とか人口当たりの預入額が、、、

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最後が大正15年9月なので、これ自体もおそらく大正15年か昭和2年くらいの物でしょう。

「これ」と言いましたが、「これ」は何かというと、アドレス帳です。

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氏名・住所・電話番号を書くようになっているカードがたくさんくっついて
小さなファイルになっています。

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横から見ると、わかりやすいかな。

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このカードは入れ替えができるようになっています。

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こんなふうに刺さっています。

この時代でいうと「人名簿」に当たると思いますが、
まだ帳簿のようなものに直接書いたり、1枚1件のカードに書いて台紙に差し込んだりが
主流だったと思います。

その時代にこの形はかなり先進的だったのではないでしょうか?

調べてみたら、さすがに今はなくなっているようですが
割と最近まで「リネオカード」のリフィールは販売されていたような気配が。。。。

きっと長年愛用している方がいたんでしょうね。

また、こんな形態なので注意書きもついていました。

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カードをたたんでからでないと、カード同士がけんかするよ、という注意書きと
裏は
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カード交換の手順です。

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裏表紙の内側には商標ラベル。
特許番号41328は大正9年の登録で「鎧装式カードバインダー」というタイトルでした。


リネオカード自体、時々資料で見かけるので現物を入手出来てうれしいのですが、
これ、ちょっとした特徴がありまして。

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気付きました?
各ページの表紙というのでしょうか、一番上の用紙に
貯金を勧める標語のようなものが書いてあるんです。

「貯えありて力あり」
「軽き通帳に重き信用あり」
「たすき掛けの主婦には貯金の心掛けあり」

貯金局なので、わかりますけど、全ページに貯金しろと
脅したりすかしたり。

それも1枚に3つづつ。。

見開きだと6回「貯金しろ」と言われているわけで、
まぁ鬱陶しい住所録ですわ。

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「油断大敵貯金は無敵」
「儲け高より預け高」
「国は汝の一銭に富む」

油断大敵ですよ。無駄遣いしていませんか?
私はこのブログに掲載しているモノ、
ほぼ無駄遣いなので、耳がイタイ!

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「殖える貯金に減る苦労」
「貯ふるものに天災なし」
「持つてなくなる預けて殖える」

持ってなくなる、はおっしゃるとーり!
分かっちゃいるけどやめられない♪

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「心緩めば財布も緩む」
「儲ける夢より預ける思案」
「流行りを追えばその日に追わる」

儲ける夢より預ける思案、って夢を見ないで堅実に、とにかく貯金しろってことですね。
うーん、、はい、無理です。ごめんなさい。

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「多く積むより長く積め」
「貯金は誰にもできるご奉公」
「一銭を笑うものは一銭に泣く」

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「貯金は出世の糸口」
「貯金は腕より心がけ」
「人を頼るな貯金にたよれ」

いや、殺伐としてますなー。
この文言を見ながら、この下に書いてある連絡先を見て
いろいろ仕事の話とか相談とかの連絡をしてたんですよね、
これを使っていた人は。



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「雫も凝って丈餘の氷柱」
「貯金は向上の一路」
「今日の貯金は明日の幸福」


今日の貯金は、明日の幸福です。

みなさん、貯金してますか?
是非貯金して幸せになってください!