10年目のプレゼント? Eagle Pencil 鉛筆削りディスプレイ
6月6日は自分の誕生日と同じくらい忘れられない日だ。
10年前、2010年6月6日に荻窪の六次元で開催されていた文房具のイベント「中村文具展」に行っていなかったら、古文房具のコレクションをすることはなかった。
中村文具展 → 武蔵小金井の中村文具 https://nakamura-bungu.com/の展示やフリマなど。
その時のことは改めて語らないが、
あれからもう10年たったのかと思うと感慨深い。
思えば、あれからたくさんの古文房具を集めたものだ。
そして昨日、すごいものが手に入った。
スゴイは私基準なので、多くの人は「ふーん」かもしれないが
自分的には目を疑うようなものなのだ。
まずこちらから。
イーグルペンシルの1913年のカタログだ。
今回手に入ったのではなく、これはずいぶん前から所有している。
その中の1ページがこれ。
ペン軸と小型鉛筆削りの店頭ディスプレイの画像だ。
「あーあ、何かの間違いでこれ出てこないかなぁ。100年前だし無理だよなぁ」
これを見ながら何度かため息をついたものだ。
それがだ。
現物来たー!!!!
まさかの、カタログと全く同じものが手に入ったのだ。
ほらほらほらほら。
それも何と日本国内のオークションだ。
最初、見つけたときは目を疑った。
現物ではなく、広告のポスターではないかと
思わずスマホを斜めにして見てしまった。(3Dじゃないからw)
写真ではなく、ちゃんと現物だ。それも一つもかけていない完品だ。
こんなことがあるなんて。
イーグルペンシルのマークもちゃんと入っている。
素晴らしい。よく残っていた。よくあった。。それも日本に。
保管していた方にとにかく感謝である。
古文房具を集め始めてぴったり10年目のタイミングで我が家にやってきたこの鉛筆削りのディスプレイは、
贈り物のように感じられた。
ずーっと探していて、出会えていないものは山ほどあるけれど
あきらめずに探していると、いつか出会えるのではないかという
希望につながる出会いだ。
ボードの裏面。この部分を持って鉛筆削りに鉛筆を指して鉛筆を回す。
この裏面のパーツが飛び出して並んでいるさまですら愛おしい。
あと10年たった時、まだ古文房具を集めているかは
わからない。
でも、現物を見たいものや手にしたいものが
まだまだたくさんあることを改めて認識した10年目だ。
あきらめないぞ、これからも素敵な古文房具を探そうと
気持ちを新たにした。
明治時代のインク瓶
4月の上旬からほぼテレワークになり、
休日も食料品の買い出しで近所に行く以外は、建物の外に出ることはない生活が続いている。
出かけないことにそんなにストレスは感じないのだが、
「家にいるので溜まりに溜まっている片付けものができるはず」と思ってはいるものの
それがあまり進まないことがストレスというか、
「自分、しっかりしろ!」という感じになっている。
こういう時は、きれいなものを眺めて
ちょっとした現実逃避をしておくのがよい。(ほんとか?!)
今日紹介するのは明治時代のインク瓶。
古いインク瓶は比較的手に入りやすいが、大正・明治となると
そうはいかない。
特に明治時代のインク瓶で時代が特定できる形、ラベルなどが残っていてカタログなどメーカーの資料と突合せができる形で残っているものはなかなかお目にかかれない。
この「エスエフ商会」は当時の社長、福井庄次郎のイニシャルから来たものだ。
ラベルのデザインが格好いい。
真ん中に四角の立方体のようなマークがあるのは、
当時の福井商店の商標の「三菱」マークだ。
(ひし形3つの組み合わせ。三菱鉛筆とは無関係)
ふたの素材が不思議で、古いインク瓶のふたはたいてい木にコルクをくっつけてあるのだが、
これは白っぽくてとても固い角か牙系の素材のようなものにコルクがつけられている。
明治34年のカタログに掲載されているインクと同じものであろう。
この絵を見ると、左端2つのふたも白っぽく平らなものなので、
当時からこういうふたもあったようだ。
当時、すでに模倣品が売られていたようで、カタログにその注意が記されている。
このインク瓶と一緒に入手したインク瓶がある。
これも明治らしいいいデザインだ。
ラベルを見ると「MARUSHIRO」とあるので日本製だと思われるが、
どこのものかがわからない。
だが、よく見るとボトルにはフランスのインクのエンボスが入っている。
この「NANTOINE PARIS」というのはメーカーの名前だろうか、とふと見たらライオン事務機のカタログにこのインクも載っていた。
瓶のエンボスは「NANTOINE」で、最初のNがどこかに行ってしまったようだが、
このインクのことで間違いないであろう。
おそらくフランスから輸入したものを、ラベルを貼り替えて販売していたのであろう。
そしてペリカンのインクだ。
「ドラゴンのラベルのペリカンのインクを探している」と言っていたら、
いつもお世話になっている骨董屋さんの金田屋リヒトミューレさんが譲ってくれた。
ありがたい話である。
ラベルの左右に感じのような文字が書かれているが、ちょっと違うようなので
中国に簡体文字だろうか。
このラベルのデザインは1904年のカタログには載っているが、簡体文字だとすると、
その後のカタログでも見ることができるので、時代はもう少し後かもしれない。
中身は製図用のインクで、墨に近いものだ。
[1904年ペリカンのカタログと比較]
ちなみにこのインク瓶、とてもガラスが透明度が高いというかクリアである。
この3つのインク瓶がとても好きで、
ぼーっと見つめてしまう。
おまけでもう一つ紹介しておこう。
明治の終わりか大正頃のインク瓶だ。
「東洋ブラック」というこのインクは、おそらく当時大手だった篠崎インキが作った「日本ブラック」というインクをお手本にしたものだろう。
これもやはり明治34年のライオン事務器のカタログに掲載されていた。
もしかしたら、東洋ブラックのほうが先かもしれないが、今となっては分からない。
以上が今日の私の古文房具によるプチ現実逃避だ。
ああだけど、ライオン事務器のインク瓶がオークションで、文具でないガラス瓶多数とまとめて出品されていたため競ってしまい、高額落札になってしまったのを思い出してしまった。
そして文具と関係のないガラス瓶は、オークションに出してしまおう、余裕ができたら、、、と思っていたが、それがまだできていないことも思い出した。
在宅時間が長いうちにやらなければ。
★おまけ★
Webマガジン 文具のとびらの連載「文房具百年」
4月は100年前の鉛筆削りを動画で紹介している。
「手洗い動画と100年前の鉛筆削り器」https://www.buntobi.com/articles/entry/series/taimichi/011478/
見てね。
名刺入れ付きねずみ年の年賀状
素敵な年賀状を見つけた。
え?年賀状??今!?というタイミングだが、見つけたのが最近なので仕方ない。
ちょうど今年はねずみ年だし、12年後までネタとしてキープするには
ちょっと長すぎるので、今出してしまうことにした。
それがこれだ。
ネズミのカップルがダンスをしている絵柄で、
エンボス加工(立体的に浮き上がらせて)されている。
よく見ると、毛並みまでつけられているし、手足も優しい丸みを帯びている。
更に下についている小さな封筒には、、、
何やら入っている。
この時点でこの芸の細かさにワクワクするのだ。
中に入っているのは、説明書きと名刺とする小さい紙、飛行船の封緘紙(裏に水糊がついている)だ。
説明書きを読むと「欧米では年賀状に名前を書いた名刺を同封している。日本でもそれをやると名前をよく知ってもらえるのでいいよ」といった内容だ。
この説明書きからすると、このカードは年賀状ということだ。
そして時代は「一種郵便」が三銭の時代なので、昭和6年から昭和12年まで。
その中で子年は昭和11年(1936年)なのでその前の年、昭和10年のものであろう。
飛行船の封緘紙は、かの有名なツェッペリン号が日本に飛来した後のものとすると
昭和6年(1929年)以降となるので、大体時代もあう。
名刺としての紙ではなく、封緘紙に名前を書いたのは、四角い紙はつまらないと思ったのだろうか。
この封緘紙はサイズがぴったりだが、この年賀状のセットとは別のものだろう。
よくぴったりのサイズのものがあったものだ。
余談だが、封緘紙に書かれた名前「横堀洋一」さんを調べると
「ゲバラ 青春と革命」の著者であり、共同通信社で世界を舞台に活躍された方が同じ名前だ。
だが横堀氏は1933年生まれなので、時代が少し違うようだ。
そのためおそらく同姓同名の別人だと思われるが、
名前を残したのが飛行船のラベルであるというところが、なんだかご本人であってもおかしくないような感じを受ける。
ちなみにこのはがきは、裏面も美しい。
エンボスの後は影のようだし、切手の部分の丁寧なデザインが、上品で洒落ている。
この年賀状は、他のバリエーションや他の干支でも作られたのだろうか。
あるのであれば、見てみたい。
いとう呉服店のものかもしれない組み合わせ文具
コロナウィルスの影響が日々ひどくなって不安な状況になってるが、
自分でできることはちゃんとやって、あとは日々冷静に過ごしたいと思う。
入学シーズンだが、学校や幼稚園がしばらく始まらないところも多いようだ。
今日も前回に引き続き入学シーズンやクリスマスにプレゼントとして贈られた「組み合わせ文具」の紹介だ。
前回は松坂屋もどきの組み合わせ文具だったが、今回はもどきではなく松坂屋の前身の「いとう呉服店」のものかもしれない組み合わせ文具の紹介だ。
いとう呉服店のものだとすると、大正14年に松坂屋に社名変更しているでの、時代としては大正時代であろう。
箱はこんな感じ。これを見て「おおー!」となったのだが、
実は同じ箱を箱だけの状態で以前購入した。
その時買った箱は2つで、もう一つはクリスマス風の絵柄だった。
なぞの箱だったが、いとう呉服店のものかもしれないと思うと、ちょっとうれしい。
そして中身だ。
完品ではなくいくつか欠けているものがあるようだ。
それに別で買ったものも入っているようだが、
鉛筆、ノート、楕円形の消しゴム、ペンケースあたりは雰囲気的にもともと入っていたものだろう。
個人的には消しゴムがうれしい。
「ITOGOFUKUTEN」と印字されているので間違いなく大正時代のものだろう。
この消しゴムをみてこのセットを「いとう呉服店」のものではないかと思ったのだが、正直なところ断言できない。
一緒にあった細長い消しゴム、これも細い縞状の2色になっていてかなり古いものだが、もともと入っていたのはこちらかもしれない。
鉛筆は5本のうち3本がEBERHARD FABERで、残りはメーカー不明の無地の鉛筆という少し不思議な組み合わせ。
海外の鉛筆が入っているあたりは百貨店的である。
ノートはシンプルな雑記帳。中は無地のざらざらした紙だ。
小ぶりのピンクのノートの表紙のデザインがおしゃれである。
このノートとは別で手帳のようなものが入っていた。
これがまたちょっと不思議な代物だ。
金色の小口にマーブルの表紙?はとてもしゃれているのだが、、、
表紙?のマーブル模様の厚紙が中途半端なところで切れているのだ。
それにこれが表紙だとすると、「MEMO」とも「NOTE」とも書かれておらず、
なんというか、どうしたらいいのか当惑してしまう形をしている。
おそらくだが、手帳カバーのようなものがあって、それにこの中途半端な部分を差し込んで使うようになっていたのではないだろうか。
だがセットの中にそれらしきものはなかった。
なお、この手帳の紙は透かしが入っており、
その模様も何を表しているのかよくわからない。
海から日が昇っているような絵に見えるが。。。わからない。
クレヨンとペンケース。
クレヨンの中身はほぼなくなっており、1本だけ残っているのは別のメーカーのクレヨンだった。
それと、かわいいがこれもちょっと謎なものが入っていた。
透明のセロファンに模様がついているものだ。
とてもかわいらしいのだが、松坂屋の値段シールが貼られているところを見ると
最初から入っていたものではない。
おそらくこれは持ち主の女の子が後日買ったものを一緒に入れていたのだろう。
このかわいいセロファンは「手工用 手芸用」とあるが
どういうものを作って遊んだのだろう。
当時ほかにもいろいろな柄があったのだろうか。
見てみたいものだ。
以上のようにもろもろ中途半端だったりなぞだったりの組み合わせ文具だ。
この組み合わせ文具が「いとう呉服店」のものか、
「いとう呉服店」「松坂屋」で良く買い物をするご家庭の子が持っていた
「いとう呉服店」とは関係ない組み合わせ文具か、
謎だ。
いつか答えがわかればいいな。
とりあえず、今の時点では、大正時代らしい組み合わせ文具のかけらが手に入ったというだけでも
私としては楽しいのだ。
おまけの画像。
鮮やかな色の文房具が詰め込まれたこのセットは
組み合わせ文具の中でもかなりお気に入り。
そういえば最近、目の覚めるような組み合わせ文具と出会えていない。
何か出てこないかな。
それと今年新入学のお子さんたちが、
新しい文房具を持って安全に学校で勉強できる日が
早く来ますように。
怪しい組み合わせ文具
組み合わせ文具を見るとつい手が出てしまう。
先日も一つ入手した。
松坂屋の組み合わせ文具かな?
そういえば高島屋の組み合わせ文具でも、派手な色を組み合わせたデザインの箱があったな。
でも松坂屋にしてはちょっと雑な感じが・・・
開けてみる。
完品ではなく、いくつかなくなっている模様。
おそらくノートや消しゴム、メモ帳、鉛筆削りとかが入っていたと思われる。
この「ワンパス」というクレヨン。
やぁ、ワンパス君!君のことは知ってる気がするよ。
君がお手本にしてるのはクレパスだね。
ちなみにワンパスの仲間というか、クレパスをお手本とした怪しいクレヨンは多数ある。
昭和初期頃の文房具は、クレヨンに限らずこういったものが山盛りあるので、
百貨店の組み合わせ文具だからと言って、こういうのが入っていないとは
限らない。
でも、怪しいにおいがしたので、マークをよく見てみた。
形は松坂屋っぽいけど、あれ、木へん?あったかな。違和感が、、、
間違いなく松坂屋の組み合わせ文具の箱を引っ張り出し、マークを見ると。。
ほら、やっぱり違う。
マークは井桁の中に「藤」が書かれている。
よく見ると箱の紙の貼り方や「組合文房具」のラベルも雑で安っぽい。
ということで、この組み合わせ文具は百貨店のものではなく
「おたく、どちら様でしょうか???」ということだ。
ちなみに一緒に入っていた鉛筆は、特に有名メーカーをお手本にしたというのではない「カーボーイ鉛筆」だ。
ラベルを拡大するとなかなか愛嬌のある顔である。
鉛筆にもちゃんとカーボーイの顔が入っている。
今だったら、こういうのがあるとネットでたたかれるのだろうな。
ま、昔のものだし、昨今重苦しい話ばかり聞こえてくる状況だし。
「箱のピンクきれいだねー」「松坂屋?あ、違うの!?はははっ」と
一瞬楽しめればOKかなと。
■お知らせ■
Web連載、文房具百年の今月号がUPされました。
「日本の洋式帳簿、その始まりの頃」
https://www.buntobi.com/articles/entry/series/taimichi/011276/
文房具の話っぽくないけど読んでね。
あと最後の方の写真を見てほしい!
画鋲いろいろ
ずっと忙しくて、ブログに書くのが後回しになってしまったが
今年の1月の骨董ジャンボリーで画鋲をまとめて買った。
今日はその紹介だ。
左上の画鋲は、ケースが変わっている。
ふたの代わりになってるパーツが、画鋲抜きを兼ねている。
画鋲を取り出す穴の上に回すと価値っと止まるようになっている。
PATENTの番号もあるが、調べたが番号では出てこなかった。
昭和20年代以降の特許だと番号では簡単検索できないものが多いので
おそらくそれくらいの時期のものだろう。
中の画鋲は「KK」(と「Y」もだろうか)のエンボスがある。
初めて見るエンボスだ。
金具の横のところに画鋲をひっかける部分がついている。
画鋲を取り外す器具としてはピンセルが有名だが、昔からほかにもあって、
単独の画鋲外し器具や画鋲入れに組み込んだものなどいろいろ工夫されている。
マスク画鋲はきれいな色のビニールのようなカバーがかかっている画鋲が入っていた。
もともとこの中に入っていたものかは不明だが、画鋲の頭を覆っていることを
「マスク」と取れなくもなく、偶然かもしれないが何となくつじつまが合っている。
ちなみにこのマークは「入江商店」という文具メーカーのマークで、「マスク」という商標もいろいろな喪にに使われている。
ASD製図画鋲の中身は、銀色のつるんとした画鋲が入っていた。
下の写真の後ろにちょっとぼやけて写っているのが製図用画鋲なので、
手前の小さい画鋲はもともとここに入っていたものではないだろう。
これだけ見ると、堂ということはないが、
画鋲の種類としては珍しい。
たくさん画鋲を並べたとき映えるタイプだ。
「Licht」の中もエンボス画鋲で、こちらはエンボス画鋲としてはよく見る「DRAWING」と書かれいる。
この「Licht」は現在のリヒトラブさんの画鋲だろうか。
以前はこのスペルだったはずだが、リヒトラブさんかどうかは確認できていない。
ちなみに、一緒に購入したものに画鋲ではなく虫ピンもあり、その中にプラスさんにモノがあった。
筆記体のPlusは旧ロゴだ。こちらは旧社名「千代田文具」の頭文字が入っているのでプラスさんで間違いがない。
ついでに虫ピンはもう一つあった。
「kaname Pin」とあり、初めて見るマークとブランド名だが、
扇のマークがなかなかしゃれている。
もう一つのマークのアルミ缶は中が空だった。
これを買った時、実はほかにもあったが、お財布の関係であきらめた。
にしても、誰かが集めていたのだろうか、
これだけちょっと珍しい入れ物と中身もそれぞれ違っているものがまとまっているのは凄いことだ。
世の中まだまだ知らないものがたくさんあるということだ。
画材カタログより 文房堂と丸善
文房堂のカタログを手に入れた。A5サイズの小さなものだ。
文房堂は、東京の古書店街 神保町にある老舗の画材屋さんで、文房具も扱っている。
以前に大正時代の文房堂さんのカタログを入手したが、今度はもっと古い明治41年発行のものだ。
さて、文房堂さんはいつからあったのだろうとホームページを見ると
明治20年創業!
そして、神保町に店舗を新築しているので、このカタログはそれから間もないころのものだ。
ちなみに同時期のフランスの画材カタログを持っているが、表紙のデザインというか、雰囲気がよく似ている。
当時、洋画材料はほぼ輸入であったであろうし、カタログなども参考にしているのだろう。このおしゃれな字体だけでも、ずっと見ていたくなる。
話がそれたが、文房堂さんのホームページの「文房堂の歴史」を見て意外なことを知った。
創業者は丸善創業者 早矢仕有的と縁戚でともに福沢諭吉の門下生だったと。
そして創業時は早矢仕有的が経営していた書店に間借りしていたそうだ。
http://www.bumpodo.co.jp/company/history.html
そうだったのか。知らなかった。
ではカタログの中を紹介しよう。
最初に文房具が掲載されており、万年筆が数種類載っているのは
丸善との関係を踏まえてみるととても納得感がある。
携帯用のインク入れは、水雷型や、開いて使うものなど凝った形で面白い。
また、万年筆のページは、偶然かもしれないが、レイアウトが丸善の明治40年頃のカタログと似ている。
*丸善文房具目録に掲載されている万年筆。
もちろんカタログの中心は絵具などの画材だ。
文房堂と丸善の関係を踏まえてカタログを見たとき、一番「なるほど」と思ったのがこのページだ。
右側のピンクのページに「商品切手」とある。
「商品切手」とは今でいう商品券のことで、丸善が考案したものだ。
最初は社内用だったようだが、明治31年に発売している。発売されてから10年後とはいえ、丸善と同じようにカタログに商品切手が掲載されているところに
*丸善のカタログに掲載の「商品切手」のページ
文房堂のこのカタログと、これより少し前に発行された丸善のカタログを並べて見ると、
この二社が意外に近い関係にあったと感じるところがあるが、
よく見ると、商品は意外と重複がなく、違ったものを扱っている。
勝手な想像だが、文房具と画材という同じ商材を扱っていた両社は、
協力し合いつつも良きライバルだったのではないかな、
などと想像が膨らむ。
それから、このカタログを入手する少し前に、Web連載「文房具百年」が更新された。こちらも読む、、、いや読まなくても写真を見るだけでもアリだと思う。
「クレヨンと色鉛筆の境界線 ~クレヨンの話の補足~」
https://www.buntobi.com/articles/entry/series/taimichi/010919/
この文房堂のカタログは、「私にも何か載ってるかもよ」と言わんばかりのタイミングで私のもとにやってきたが、残念ながらクレヨンに関する情報はなかった。
だが丸善との関係性という情報を知るきっかけになったのと、明治時代の文房具が掲載されている、それだけで十分だ。