消しゴムいろいろ
先日、タモリ倶楽部で5年前出演時の映像を総集編で流していただけたのだが、
そのタイトルと説明がすごかったので、記念に残しておきたくなり、とりあえずブログに書いておくことにした。
「振り返れば誰もいない!ぶっちぎり!孤高のマニア列伝」
当番組に時折訪れるマニアの方々。その中には、世の中の大多数の人が目を向けない超ニッチなジャンルに一人でのめり込み強烈なインパクトを残した方も。今回はそんな超絶マニアたちのオンパレードです。(2020/6/19 テレビ朝日放映)
私含め5名の紹介があったのだが、他の方が架空の地図を描き続ける方や辞書をひたすら集める方など本当にぶっちぎっていて面白かった。
そんな中に入れていただいて、僭越と光栄両方の気持ちを持って見たが、
意外と消しゴムの尺が長かった。
そういえば、最近ブログで消しゴムの紹介していないなぁ、、、ということで、
割と最近入手した消しゴムたちを紹介することにした。
まずはA.W.FABERの消しゴムセット。
写真だとサイズ感がわからないのだけれど、A4くらいのサイズなので、消しゴムはかなり小さい。
ボール紙で上につるせるように穴が開いている店頭ディスプレイだ。
2段目にペリカンの消しゴムがあるのはご愛敬。一緒に売っていたのだろう。
この消しゴム、ちょっとした残念な思い出がある。
オークションで見つけてしばらく眺めて、買おうかどうか迷っていたら、割引オファーがきたので、「よし!」と思って買ったものの、送り先を間違えてアメリカの転送サービスの住所にしてしまったのだ。
(海外オークションで、日本に送ってもらえない商品を購入する際に、一旦アメリカやドイツで受け取って日本に転送してくれるサービス)
なかなか届かないなぁと思っていたら、転送サービスから転送依頼のない商品が入荷しているが、これどーするの?とメールが来て初めて間違いに気づいた次第だ。
仕方ないのでアメリカらから日本に送ってもらい、その分余計な送料と手数料がかかってしまった。ああああ、もったいない。
とはいえ、この消しゴムは全体的に小さくてかわいらしいのと、
マーブル模様の消しゴムが好きなので、いいものを手に入れられたし、まぁいいかと思っている。
天然ゴムの消しゴムの渋い色合いで出来ているマーブル模様や線になぜか見とれてしまうのだ。
いつ頃のものかというと、おそらく1930年前後ではないかと思われる。
1932年のカタログに品番や見た目が似た感じのものが掲載されていた。
入手したのが7042番で、カタログが7163番なので、入手したほうが少し古いかなと思っている。
※1932年のA.W.FABERのカタログ。
続いて、エバーハード・ファーバーのピンクパールを紹介しよう。
これは1950年くらい以降のアメリカのカタログによく掲載されており、アメリカではかなりポピュラーな、日本でいうRader、MONOに当たるような消しゴムだと思う。
日本でもよく似た名前の消しゴムが作られていたり、海外オークションでもよく見かけるので、手に入れておこうと思っていたが、いつでも手に入りそうなものは却って後回しになってしまうものだ。
それで長年持っていなかったが、日本の骨董市で良い状態のものを手に入れることができた。
欧米の消しゴムは、箱の一部を折り曲げてそのままディスプレイにできるタイプが多い。これもそのタイプだ。
肝心の消しゴムは劣化も少なく、きれいな状態で一段残っていた。
昔の欧米の天然ゴムの消しゴムは、質感的にまったりしていて、ゴムの色合いが優しい。今も欧米の天然ゴムの消しゴムはあるのだが、妙にてらてらしていて、あまり好きになれない。
ちなみにPink Pearlは現在も販売されている消しゴムだ。
質感がまったりしていて、色が優しいから好き、とか言っておいて、それをひっくり返すような消しゴムを紹介しよう。
SEEDのアニマル消しゴムだ。
まずこの箱がグッとくる。誰が書いたんだ、これ。
この動物なのにかわいさがなく、全く購入者への媚がないイラストが大好きだ。
中の消しゴムもなかなかシュールだ。
動物の形の消しゴムをショッキングカラーの消しゴムで囲っている。
色の組み合わせも「トラは黄色」とかそんな一般的な概念を無視しているところが斬新でいい。
ひび割れているものがあったので、中の動物を取り出してみた。
見たままだった。
ちなみに昭和40年頃にSEEDがアメリカに輸出していた消しゴムがあるのだが、
動物の形がそれとよく似ている。
下がアメリカに輸出されていた消しゴムだ。
ただ、輸出されていたものは素材がプラスチックではなく天然ゴムのようだ。
あと厚みも輸出されていた方が薄い。
ということはおそらく、アニマル消しゴムは輸出していたアニマル消しゴムの輪郭だけ参考にして
後に作られたものではないかと思う。
最初に紹介したFABERの消しゴムと比べると随分カラーが違うが、
私にとってはどちらも手元にあると元気が出る消しゴムだ。
最近新しい消しゴムを入手する機会が減ってしまったが、
まだまだ見つけて紹介していこうと、気持ちを新たにしたのであった。
★文具のとびらの連載「文房具百年」、今月の原稿UPされた。
「1920年からのダイレクトメール~針なしホッチキスについて」
https://www.buntobi.com/articles/entry/series/taimichi/011836/
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