輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

120年前のロケットペンシル Perpetual Pencil

ロケットペンシルを知っていますか?

鉛筆の芯の先端部分が軸に詰まっていて、
先が丸くなると後ろに回し、新しいとがった芯を押し出すあれだ。

そのロケット鉛筆は昭和レトロの懐かしアイテムとして思い出されることを多いが
実は今でもある。

そして実は120年前からあった。
今回紹介したいのはその120年前のロケットペンシルだ。

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実は以前も似たような内容をアップした。
その時の記事はこちら → https://blogs.yahoo.co.jp/tai_michi/17875867.html

前回は短い鉛筆状のものが連なっていたが
今回は芯ホルダーのような軸に、芯先だけが詰まっている。

この軸、格好いいなぁ。
日本で子供が使っているロケットペンシルとは大違いだ。
高級感もある大人のロケットペンシルだ。

そして箱も素敵なデザイン。

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こんな風に入っていた。
本体の長さに対して、箱が長すぎるので
恐らく芯のリフィールが入っていたのではないだろうか。

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このロケットペンシルの名前は「PERPETUAL PENCIL」
メーカーは「AMERICAN LEAD PENCIL」だ。

ほら!また出た、アメリカンリードペンシル!
前に紹介した木製のロケットペンシルアメリカンリードペンシル(アメリカン ペンシル)だった。

アメリカン リード ペンシル(アメリカン ペンシル)は
老舗の鉛筆メーカーで、素敵なものが多いが、ときどきユニークな発想のものを
見つけることがある。

特にロケットペンシルについては、あの木製のロケットペンシルに続いてこれを作ったのだとしたら
どれだけロケットペンシルにこだわってたんだと
背景を想像するとさらに楽しい。


さて、このロケットペンシルだが、後ろから芯を入れて、力づくで先端に芯を押し出す、
なんて無粋なものではなかった。


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先端はこうなっている。
後ろのノック部分を押すと、、

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芯が入ったパイプがせり出してくる。
そして中に次の芯が入っているのがわかる。

ノックを引っ込めると、二番目の芯が押し出され、先端の芯が排出される仕組みだ。

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次の芯が前に出てきているのがわかりますか?

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そして押し出され、押された芯は割と勢いよく飛び出す。

中にバネが仕込んであるようで、芯がいっぱいに詰まっていなくても
次の芯が一つ入っていれば、前の芯を押し出すつくりだ。
ちなみに芯が1つしか入っていない場合、指で押してパイプの中に戻しても
ノックすると先端に芯が出てくるようになっている。

押し出された芯の吹っ飛び具合はいかがなものかと思うが
懐かしのロケットペンシルのように、後ろからぎゅーーーーと押し込まなくてもいいのは
スマートでよい。

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箱に書いてあることを見ると、芯は硬度もカラーもいろいろあったようだ。
もちろん手に入るものなら欲しいが、まぁ難しいだろう。
この本体のことを知らない人が見たら
誰かが折れた芯を集めていたとしか見えない。

ちなみに芯の太さは3ミリくらいだ。
普通の芯なので、同じ太さの芯ホルダー用かコンパス用の芯があれば
使えるものが作れそうだ。
なお、手元の鉛筆の芯で試してみたがうまくいかなかった。
細いと芯送りの機構に引っかからないようだ。


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そしてこれには説明書もついていた。
元は折り畳んで箱に一緒に入っていたのだろう。
ボロボロだが、それでも説明もついているのはありがたい。

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もちろん英語。
ざっと見たところ、いつでも尖った芯で書くことが出来るよ、
そんな感じの説明と思われる。

そして特許のコピーも送ってくれた。

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この辺の先端の仕組みが大事そうだ。

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特許は1897年6月22日の登録なので、120年前になる。
名称は「MAGAZINE LEAD PENCIL」
MAGAZINEの意味は雑誌が一般的だが「連発銃の弾倉」の意味もある。
芯を次々と繰り出す方式の鉛筆と読み替えればぴったりくる。

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こんなにたくさんの枚数、印刷して同封してくれた。
とてもありがたい。

このロケットペンシルはとても状態がよく、箱や軸にはっきりと
PERPETUAL PENCILと商品名が入っているので
そこからどういものかを調べることが出来る。
もしそれが無くて、リフィールの芯も入っていない状態で手にしたら、本来の使い方を察知するのは
かなり困難である。

実際、これと同じもので状態の悪いのを実はもう一本持っているが、
そちらは芯ホルダー用の2ミリ芯が長いまま押し込まれており、もちろんノックしても芯は出ないし
使えない。
恐らく「壊れた芯ホルダー」として扱われていたと思われる。

そう思うと、箱や軸の文字だけでなく、説明書や特許資料まで揃っているというのは
人間でいうと戸籍や住民票がそろっているような安心感だ。


このロケットペンシルの名前は
「PERPETUAL PENCIL」

Perpetualは「永久的な」という意味だ。

120年前にアメリカン リード ペンシルが作った永久的な鉛筆が、
120年という、鉛筆にとっては永久的な時間を経て当時と同じ姿を保ち、
その資料とともに日本に引き継がれ
更に年を経ることになるとは
この名前を付けた人は夢にも思わなかっただろう。