輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

ペリカンの墨

あけましておめでとうございます。
2018年もよろしくお願いいたします。

さて、今年初の古文房具のご紹介は、、、

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ペリカンの墨。
干支的には昨年の最後でもよかったかな、と思ったが
墨から「書初め」あたりを連想してもらうとして、お正月でもアリした。

紹介したいだけどいえばその通りでもある。
だってとにかく格好いい墨なのだ。


こんな箱に入っている。

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蓋を開けると内側は鮮やかな青。
そして和紙にくるまれ、赤い封緘。
この色合い、ドイツから見た東洋が表現されているようだ。

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封緘もしっかりと4羽のひな。


幸い封緘を外さずに中身を取り出せる。
片面は4羽のペリカンがエンボスされている。

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これはいつごろのものか調べてみたところ、
1938年のカタログに掲載されていた。

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ドイツ語の説明を何とか読むと
「インク」「擦る」「濃い黒が特徴」といったことが書かれている様子。

実はヨーロッパの文房具カタログに墨が出てくるものはいくつかあり、
「Chinese Ink Block」などと紹介されている。

どうやら1900年頃には中国から墨が入って来ていたようだ。

ペリカン1906年のカタログ。

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これにも墨が載っている。
中国製の墨のようだが、このカタログではペリカンの商品として扱われている。
この時はまだ自社の製品を作るに至らず、輸入して販売していたのだろう。

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この後1938年までの間に、ペリカンのマークの入った墨を作るようになったようだ。


そしてこの墨、4羽のペリカンのエンボスも素晴らしいが、
反対側が、こちらが表面だと思うが、風格のある加工である。

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「Pelikan」のロゴにひな4羽のマークはともにエンボスされ、
金箔が塗られている。

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戦前の文房具、事務用品、それに画材は、日本から見ると欧米のものが入ってきて
それに影響を受けた商品ばかリが目につくが、
このようにアジア発でヨーロッパで使われ、同様のものが作られていたものもあったということだ。

小さなことだが、アジア発で肩を並べらるものもあったという事が
些細なことだが、うれしいものだ。


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うん、いろいろ書いたが、
要するに格好いい。
80年もの間、ほぼ完ぺきな姿で残っていたことに感謝。