輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

大正・昭和の針なしホッチキス3種

ホッチキスはもともと好きですが、
今日は針なしホッチキスについて。
しばらく前から針なしホッチキスが立て続けに出てきたんです。

まず、数週間前の骨董市で、
変なものを見つけました。
 
たまたま骨董屋さんが他のお客さんと話していたので、
タイミングを待って商品をなんとなく見ていた時に
「なんだろう?」と思うものがありました。
じっと見ていると「CLIPLESS」の文字。
針なしホッチキス!!
これは欲しいぞ!
というわけで入手したのがこちら。
 
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取っ手や外側が木製というのは、
この手の文具ではあまり見かけません。

この裏側の頑張って木を削って作りましたという感じが
なんとも昔の職人さんの仕事風です。
 
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今でもちゃんと止められます。
最近脚光を浴びている針なしホッチキスより
枚数は少ないものの
同じように先をくぐらせる凝った止め方です。
 
大正時代の針なしホッチキスは
見せてもらったことがあり、
同じような止め方ですが、
本体の形が全く違います。

すごいすごい!と感心していたら、
骨董屋さんがこのこのホッチキスについてとても参考になる情報を
教えてくれました。
さえきあすかさん」という方がこういった古い文房具や雑貨について
いろいろ調べており、このホッチキスについても
ご自身で所有して、詳しく調べてブログや著書に記載しているとのこと。

さっそく帰ってブログを探し、
後日著書「がらくたをちゃぶ台に載せて」や
自費出版ミニコミ誌「ひきだしの中は小宇宙」も入手しました。
 
そうしたら、このホッチキスについて特許出願者や時期など
詳しく調べていらっしゃいました。
それに昨今の「針なしホッチキス」ブームの関係で、
テレビ局に貸し出しなどもされたそうです。
すごい方です!さえきあすかさん。
(さえきさんに連絡を取ってブログに記載することをご了承いただきたかったのですが、
 連絡が取れていません。もしこのブログがお目に留まりましたら、
 ご一報いただければ不都合な点などすぐに対応いたします。)

このホッチキスについて詳しくは
さえきさんのブログ「ガラクタ共存記」を見ていただいた方がいいと思いますが、
大正時代のもの、正式名称は「無針紙綴器」ということです。
http://maboroshi-ch.com/maboblog/saeki/2011/04/no23.html

更にすごいのは、このホッチキスの後継器も続けて入手できたことです。
 
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このぼてっとした形の物体、
これも針なしホッチキスです。
木と金属の違いはありますが、
大体の形は似ています。
それに、これはパテントNoが同じなんです。
 
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基本となる「針なしで綴じる」仕組みは同じだからでしょう。
時代は、どれくらい後のものかわかりませんが、
親子であることは間違いないようです。
 
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止めた時の形も同様です。

じつはこれも同じ骨董屋さんから購入し、
パテントNoが同じことも
骨董屋さんから教えてもらいました。
 
面白いですね!
 
そしてひとつ不思議なのが
大正時代にもう一つ別の形の針なしホッチキスが存在したことです。
 
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この形です。
もともとこちらが「大正時代の針なしホッチキス」だと思っていました。
この形が大正時代にあったことは当時の資料を持っている方から
聞きました。

ちなみに写真のこれは、
アメリカ製で、つい先日オークションで入手しました。
この形の針なしホッチキスを
前回のブングテンの時に展示したのですが、
自分のものではなく、お借りしたものです。

それがこのタイミングで出品されているのを見つけたので、
これは揃えて持っておくしかないだろうと
落札した次第です。
きっと針なしホッチキス同士一緒にいたかったんだろうと
思っています。笑

ここで疑問に思うのは、
私がブングテンで借用して展示したものは
日本製だったのでしょうか?
 
大正時代の資料に載っているものは
国産のものなのでしょうか。
その資料に、今回入手した木製のホッチキスは載っているのでしょうか。

お持ちの方に今度聞いてみようと思います。
 
 
●11/6 追記
 
前述の資料のコピーが入手できました。
大正11年の文祥堂の目録です。
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すごいっ!!
全部一緒に載ってる。

やはり、アメリカ製のものは、カタログでも「舶来製」でした。
以前貸していただいたものも私が入手したのとほぼ同じものとのことです。
 

そして外側が金属なので、木製パーツの後継器だと思っていたものは
同時期の別バージョンのものでした。
これは骨董屋さんにもお伝えせねば!

あと、面白いと思ったのは、「舶来」の「バンプ」です。
これが私の持っているアメリカの1925年のカタログに
同じものが掲載されていました。
大正11年と1925年と4年ずれていますが、
大体同じ時代ですし、こういった金属物は
そう簡単に形が変わるものではなかったのでしょうね。
 
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ちなみに伊藤喜製の鳩ホッチキスも載っております。

せっかくなので、カタログと同じ並びで写真を撮ってみました。
 
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こうなるとこのいかにも邪魔そうな弐号機も欲しいのですが、
これは今まで全く見たことがありません。
でも、きっといつか出会えますよね。