輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

パイロット万年筆の営業ハガキ

パイロット万年筆の営業マンの方のはがきを入手しました。

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万年筆会社のはがきはデザインも素晴らしいものが多く、
使用済みなら状態の良いものも比較的入手しやすいと思います。

とは言え、基本的に手を出さないでいたのですが、お世話になっている骨董屋さんからというのと
ちょっと気になった点があったので、入手しました。

時代は昭和30年前後でしょうか。
工場に「インド工場」が入っています。
以前教えていただいたのですが、インド工場は昭和27年にできたとのこと。

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このはがきのどこに引っかかったかというと、
この文面、手書き?というのが気になったのと、内容というか文言です。

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達筆というのかそうでないのか、一部判読が難しいところなどもありますが
万年筆屋さんのはがきが活字というのはNGだったのでしょう。
よく見ると、購入した文具店の名称だけインクの色が違うので
手書きしたものを印刷して、購入店名だけ書き足していたのでしょうね。

オークションでよく似たはがきを見たら文面も似ていたので
恐らく推奨される文例などがあったのではないでしょうか。

で、私が気になったのは最後の一文。
パイロットは満足のゆくまで責任を持ちます。」

先日、パイロットさんのギャラリーに行きました。(初!)
その際にご年配の男性の方が、長年使っていらっしゃる様子の万年筆のメンテナンスについて
相談をしており、担当の方がいろいろ調べて丁寧な対応をしていらしたのを目にしました。
まさに「責任を持ちます」という姿でした。

今は安価で便利な文房具が次々に出るので、
直しながら使い続ける機会が減ってしまった気がします。
でも文房具は道具なので、メンテナンスをしながら長く付き合っていくのが
モノにも自分にもいいと思うのです。
それを「責任を持ちます」という言葉でサポートしている姿勢が素敵です。

そしてこの一文。
今だったら(少なくとも自分や自分の所属する会社は)書けないです。
こんな言葉を言うのも勇気がいりますし、
ましてやご挨拶のはがきでも明文化するのはリスクが大きいという判断になります。

「責任を持ちますなんて書いて、とんでもない賠償請求をされたらどうするんだ」
そんな意識が働いてしまいます。

このはがきの頃は、「責任を持ちます」とはいっても常識の範囲内であり、
限度はあるよねという曖昧な相互理解が成り立っていた時代だと思います。

メーカーと客の、モノとカネだけでないお付き合いのお作法と言いましょうか。

それはそれで、良し悪しがあったと思うのですが、
このはがきは図柄よりもこの一文が
時代を表していると思うのです。

背筋が伸びるいい言葉ですね。


余談ですが、パイロットのインド工場についてネットで確認しようと
「インド パイロット」で検索したら
「インド 偽パイロット」「パイロット飲酒 インド」「インドのパイロットに贈賄」などが
出てきました。もちろん「飛行機」の方のパイロットです。
パイロットインド工場はもうありません。

しっかりしてください、インドのパイロットさんたち。(笑)