輸入・廃番文房具の発掘メモ

古い文房具を集めています。見つけた文房具や資料を紹介しています。

製法公開!シヤチハタ「万年スタンプ台」

23日から八重洲文具室での展示が始まりました。

えんウチさんというサイト掲載していただいたことから
ツイッターで大量のRT(拡散)をしていただき、
25日のトークショーも大盛況のうちに終了いたしました。

本当にありがとうございます。

展示はまだまだ続きますので、展示品のご紹介をもう少しやりたいと思います。



今日は「シャチハタ」さんの万年スタンプ台。
スタンプ台はいくつか持っているのですが、
大抵中が錆びてしまって保管が難しいため
あまり積極的には入手していません。

これを手に入れたのは「セルロイド」が珍しいと思ったので。
スタンプ台自体は大正時代から金属製だったようです。

セルロイドのこれは戦時中の代用品かな。

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セルロイドスタンプ台のいいところは
錆びないところです。
その代り(?)インクがセルロイドにしみてしまっていますが、
中身も結構きれいです。

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このスタンプ台、箱付きでした。
箱がなかなか面白いです。

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まず、ここが目を引きました。

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公定価格のマークの付いた値札に「セルロイド容器」「シヤチハタスタンプ製造所」

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そしてシールの後ろの特許番号。

特許は一番下のNo205452が昭和9年
その上が265759と225713で昭和13年、その上の●73149は確認できませんでした。

昭和13年の特許が記載されていることと、
公定価格のマークから推測すると
昭和10年代後半くらいの商品でしょうか。

この「シャチハタスタンプ台製造所」というのは、メーカー名なのか、
代理店のような物なのか。

シヤチハタさんのホームページを参照しましたが
うーん、「シヤチハタスタンプ製造所」については情報なし。
昭和16年に「舟橋商会を改組し、シヤチハタ工業株式会社を設立」
(シャチハタさんのHPより)
とありますが、このスタンプ台、社名変更の、前か後かわからないです。

そしてまた気づいたのですが、この「万年スタンプ台」、
これまたシヤチハタさんの創業期のヒット作のようです。

もっとも、今のスタンプ台が「万年スタンプ台」なので、
珍しいものを見つけた感は薄いです。

いろいろ出てくるものですね。

そしてこの箱、裏面にそのヒット作の「万年スタンプの製造方法」が印刷されています。

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なかなか大胆に感じられますが、これを見たからと言って作れるわけでもなく
特許もとおっているので、特にリスクはないんでしょうね

ちなみに特許が4本記載されていましたが、昭和9年の特許をご紹介します

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すみません、掲載しましたが読み取れていません!

図を見る限り、小さい孔が開いていて、
それでバランスを保っている、という事でしょうか。

昭和13年の特許も同じような図柄でした。
恐らく基本を変えずに、改善を繰り返して現代につながっているのでしょうね。



そころ余談ですが、万年スタンプ台以外というか、以前というかの
スタンプ台はどうなっていたのでしょう。

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未使用のスタンプ台です。
中に何かが詰まっており、布製のものでおおわれています。
これにインクを付けて使います。

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スタンプ台用のインキはこういう形をしていますが、なぜか。


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ふたの部分が刷毛になっており、インクをスタンプ台の面に塗りながら使っていたそうです。

都度こんなふうにして使っていたとすると、
万年スタンプは画期的だったでしょうね。