丸善 オリオンステープラー
新年早々、首都圏では緊急事態宣言が発令され、
これからどうなるのだろうと不安な1年のスタートとなった。
まぁこういう時は、ゆるい古文房具でも見ていただこうかと。
何となく水辺に生息している何かみたいな見た目がチャームポイント。
正面から見ると、なんとなくクワッと口を開けたようにも見えてくる。
PAT.APPは特許出願中かな。
番号があるけど、該当の番号や関係しそうな特許が見つからなかったので
ここに記載されている特許は登録までいかなかったのかと。
「29」とか「31」という数字は昭和の年号と思われるんので
昭和30年前半に作られたものだろう。
そしてこのハンドルの下にある「PUSH」は
ここを押すと針を入れるところが飛び出す仕組みになっている。
その出方が、これまた生き物っぽくて何とも和んでしまう。
↓ 針入れが飛び出すところの超短い動画。かわいいので、クリックしてみて。
針入れが出たところはこんな感じ。
この形や針入れの飛び出し方に一番ウケてたのは、
これを考えた人だろうな。
周りが引くくらい、「これいいだろ!!?」攻撃をしていたかもしれないと思うと
ほほえましい。
昔からホッチキスって爬虫類とか小動物とか
生き物っぽいデザインが結構あって、
それはそれで楽しい。
2020年、探していたものが一気に見つかったキセキ、今年も探し求めます。
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
今年も引き続き、面白いもの、素敵なものを探探していきたいと思う。
あきらめずに。
というのは、2020年年末、不思議なことが起きた。
2020年11月にTBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」に出演させていただいたのだが、
そこで紹介した文房具で、探していたものが一気に手に入った。
「求めよ、さらば与えられん」
聖書のマタイ福音書七章の言葉だが、思わずこんな言葉が頭に浮かんだ。
手に入ったものコチラ。
右上→ 軍用チョークの「ほまれチョーク」とチョークホルダー。メーカーの武揚堂さんに譲ってしまったので、探していた。
右下→ 鉛筆削り「バリカン削り」で箱・説明書付き。
バリカン削り自体は持っているが状態が悪いのと、箱をずっと探していた。
左 → 多機能はさみを持っていたが、機能の数え方と用途がわからないので、説明書が欲しいと思っていた。そしたら説明書付きが見つかった。
これすごくない?
ほまれチョークもバリカン削りの箱も何年も前から探していた。
もしかしたらこれらは、ラジオで紹介したことがきっかけでオークションに出品されたのかも知れないが、
多機能はさみについては、海外のオークションなのでラジオで紹介したことは100%関係ない。
せっかくなのでそれぞれもう少し詳しい写真を。
まずほまれチョーク。
*関連ブログ
ほまれチョークと日本理化学工業「キットパス」 - 輸入・廃番文房具の発掘メモ
私が以前入手して武揚堂さんに譲ったのとは、箱のデザインが違う。
だけど、この箱、チョークホルダーと同じ色だ。
武揚堂さんに譲った箱のデザインも素敵だが、ホルダーとおそろいというのがうれしい。(ホルダーの赤じゃないほうが黒い柄に見えるけど、濃紺)
ちゃんとふき取り用の皮もついてる。
中は未使用のチョーク。
ホルダーにはチョークが入っているので、予備のチョークなんだろうが、
これを使う前に戦争が終わってよかったね、といつも思う。
裏には「無鉛」だから無害であること。
「陸海分の各学校官営にては無鉛チョークを指定させる」旨の記載が軍用チョークであったことを示している。
次にバリカン削り。
箱はイロブンコレクターのきだてさんが持っていて
ずーっとうらやましかったのだが、やっと手に入った!!!
(きだてさんのサイト→
箱に貼ってあるラベル。
「鉛筆削機専門工廠」えんぴつけずりきせんもんこうしょうと読むのでしょうか。
「廠」は「壁仕切りのない、ただっ広い建物。」(コトバンク)とのこと。
広い工場で作ってたのかな。
売っていたのは「高善紙店」。調べたがもうなくなっている様子。
※「萬善紙店」で、調べると中屋紙店が出るとコメントいただきました。2022/5/5
大正時代の鉛筆削りだしね。
当時40銭だったんだ。
説明書もあるのがうれしい。
そして多機能はさみの説明書。
*関連ブログ記事 →
明治時代の25通り万能はさみ - 輸入・廃番文房具の発掘メモ
はさみの中の2ミリの写真(明治時代の万能はさみの続き) - 輸入・廃番文房具の発掘メモ
安住紳一郎の日曜天国紹介文具とはさみの補足 - 輸入・廃番文房具の発掘メモ
バーン!!!
18種類について機能が判明。
該当のはさみはこれ。
そういえば、「吾輩は猫である」に出てくるはさみも「赤いケース」に入っていた。
箱のようなケースをイメージしていたが、きっとこれだ。
このはさみも写真が組み込まれているが、目を当てる側のレンズが傷んでいて肉眼では見えない。
反対側から写真を撮ったところ、パラソルを手にした水着のおねーさんらしい。
これらのものが次々と見つかる状況に
ああ、あきらめないで探しててよかった、と
何度も思った。
探していればいつか見つかることがある、
あきらめないのが大事、
と改めて実感。
ずーーーーーーっと探していて見つかっていないものはまだまだあるけど、
これからも探し続けようと改めて誓った2021年年頭。
ガラスの硯と時計の墨
毎年年末の大掃除で悩ましいのは、
買ったままで片づけていない文房具。
一度片づけるとそのままになってしまい
紹介する機会がなかなかやってこないので
出来れば、一度はブログやインスタなどで紹介しておきたい。
だが、大掃除の最中にそれをやっているわけにいかず、
片づけてしまおうとなってしまう。
なので今年は片づける前に写真だけ取っておけば
片づけてもあとでブログに出せるだろうということで
今から写真を撮りためている。
頑張ると紹介できず、オクラ入りになってしまうので
短くてもいいので数多く紹介しようと思っている。
ということで、今日はこれ。
ガラスの硯と時計の形をした墨。
ガラスの硯、乳白色のせいかガラスの冷たさがなく柔らかい感じがとてもいい。
サイドの模様も素敵。
戦前のものだと思われるが、時代は不明。
ガラスが使われていると、戦時中の金属の代用品のイメージがあるが
硯はもともと石硯がメインなので
金属の代用品というのとは違うであろう。
墨をするところは若干ざらざらしているので
すれないこともなかったと思うが、
墨を溜め置く墨池として使われていたのでは?という意見もある。
墨筆硯はこれまで全然ノータッチだったので
よくわかりません。
ガラスの硯って素敵!
私としてはそれで十分。
一応、表の墨が残っているざらつきのある所をアップにしてみたが、、、
つたわらないな、これ。すみません。
裏側は特に何もなし。
何でしょうね。前回紹介したガラスのカートリッジの万年筆もそうだけど
普通ガラスではないものが、ガラスというだけで
ワクワクする。
そして、このガラスの硯とは関係にないが
同じころ時計の墨も手入手した。
ちゃんと金銀で彩色されているし、
時計の形って洒落てる。
なぜ時計なのかというと。。
「早くすれる」墨で「時間経済墨」という商品なのだ。
左側は「光」という文字と最後は「し」?
読めないのだけど、「光沢もいい」とかでしょう。
こういうおちゃめなのがあると、墨もチェックして集め出しそうで、ちょっとドキドキする。
ああそういえば、墨と言えばペリカンの墨も持ってた。私の宝物。
参考→ 【連載】文房具百年 #9「西洋の墨汁、東洋のインク」後編|
ということで、今回はちょっとおしゃれな硯と墨のご紹介。
今年もう1回くらいUPしたいです。
★Web連載 文房具百年 今月の掲載UPされました。
先月に引き続きチェックライターとその周辺道具の話です。マニアックな話ですが短めなのでさらっと見てね。
Waterman ガラスカートリッジを使ってみる
ウォーターマンにガラスのカートリッジのペンがあることを知ったのは
割と最近だ。
万年筆には不案内だが、「ガラスのカートリッジ」というだけで
なんだかワクワクしてくる。
ウォーターマンのサイトを見ると
登場したのは1927年とのこと。
https://www.waterman.com/ja/content/9-the-heritage#heritage%22
すっかり欲しくなったのでガラスのカートリッジと万年筆を探してみた。
このガラスのカートリッジというのは、長く使われていたのか
複数のタイプが見つかった。
その中で比較的安価で時代も新し目のペンを買ってみた。
丸っとした形が何となく気に入っている。
半分埋もれているようなペン先も愛嬌がある。
ほら!ガラスのカートリッジ!
実は届いたとき、カートジッリを止めるゴムはがちがちに硬いし、
カートリッジは空っぽの状態たっだ。
そのままだとゴムが割れてしまいそうだったので
しばらく根気よくハンドクリームを塗りこんでみたら
柔らかくなってきたので、様子を見て動かしたら元から嵌っていたカートリッジが外せた。
それで、洗おうと思ってカートジッリに水を入れたら、
中で固まっていたらしいインクが復活して今この状態。
あれ、これで書けそう!ということで書いてみたら
インクは全く漏れないし、先端を少し濡らしたら
すらすらと書けた。
ウォーターマンすごいね。
ということは、このガラスのカートリッジに
好きな色のインクを入れて使えば使えるってことかな。
ちょっといいじゃない、これ。
(我が家にあるインクは、インク瓶欲しさに買ったものばかりで、ほとんど固まりかけていたり、完全に乾燥して粉末化しているものばかりという事実は一旦置いておく)
私は万年筆はほとんど使わないのだけれど、
最初に使った万年筆は
中学生の時に伊東屋で売っていたウォーターマンの1,000円万年筆。
もう数十年前の話。
万年筆が1,000円で買えるということと、
黒軸に赤のクリップでデザインも格好良かった。
そしてすごくすごく書きやすかったことに感動して
それ以来実用の万年筆はウォーターマンを好んで使っている。
(その1000円万年筆は使えなくなって捨ててしまった。ああ、後悔。)
ちなみに、ガラスんカートリッジと万年筆を探す過程で
間違えて買ってしまったものが。。。
え!小さくてかわいい!ガラスのカートリッジのペン??
それに安いよ!
と思って即決ボタンを押した後に気づいた。
これ、万年筆はじゃない。。。
カートリッジケースだった。
海外オークションは気を付けてよく読まないとと日ごろから思っているが
テンション上がってついやってしまった。
でもさ、
きれいなんだ、このガラスのカートリッジに入ったインクが。
なのでオーケーってことで。
最近手書きする機会が減ってきているけど、
ガラスのカートリッジの万年筆を使いたいというだけで
何か書きたくなる。
筆記具って不思議。
トンボ鉛筆 謎のMASON
骨董市で鉛筆を見つけた。手帳鉛筆のサイズで、先端には頭が付いている。
この頭は人だろうか。シルクハットをかぶって目が光っているのを見ると
ディズニーのキリギリスを思い出すが、そっちだろうか。
鉛筆だが、端は折ったようになっていて、最初鉛筆だと気づかなかった。
「ああ、鉛筆なんだ。どこのだろう?」
えっ!
H.O.Pはトンボ鉛筆のことだ。創業者である小川春之助さんの頭文字をとっている。
そしてトンボ鉛筆の「MASON」って、創業当初の鉛筆の名前だ。
100周年記念サイト「トンボのキセキ」で最初に掲載されている鉛筆が「MASON」で1914年頃のものだ。
普通の鉛筆で「MASON」が見つかっても驚くが、
この鉛筆、手帳用鉛筆サイズで、しかも頭がくっついている。
何だろうこれは。
もともと鉛筆に頭がついていたのか、持ち主が付けたのか。
どちらかわからないが、頭に刺さっている鉛筆はぴったりはまっており、
個人が開けた穴にしてはきれいだ。
それに、このシルクハットの帽子の部分が穴になっている。
ここに消しゴムがはまっていたのではないだろうか。
そう思って中をよく見ると、赤っぽいゴムのようなものが少しこびりついている。
それにトンボ鉛筆は、大正時代に鉛筆にセルロイドのお人形が付いている鉛筆も
作ったりしているので、これがもともとついていたものであっても
不思議はない。
実際はどうだったかわからないが、
珍しいものが見つかった。
トンボさんも知らないんじゃないかな。
先端がちぎられたような状態だと、鉛筆っぽくないしかわいそうなので、
先端を削ってみた。
これで保管しよう。
そうそう、同じトンボ鉛筆でお人形の付いたFUNNY FACE
と一緒にしておこう。
小さい小さいドイツと白木屋の手帳と鉛筆
ドイツからちいさーい手帳が届いた。
小さいのを分かって(というか小さいから)買ったのだが、届いたのを見て思わず「ちいさーい!」と声が出てしまうちいささだ。(うれしい。)
そして小さい手帳にはその手帳にぴったりの小さい鉛筆が付いている。
それもれっきとしたA.W.FABERの鉛筆だ。
これは嬉しい。普通より小さいものや大きいものは無駄にテンションが上がる。
パッと見たところの意外性や「なんでこんなの作ったんだろう」とか
「どうやって作ったんだろう」という興味が湧いて、ワクワクするのだ。
それに、この鉛筆私は持ってる史上最少エンピツでは?
そう、小さい鉛筆が好きで、いくつか持っているのだが、その中の最小鉛筆「Johann.Faber」の鉛筆より小さく見える。
それにJohann.Faberの鉛筆はフォルダにつけて使うものだ。
単独で使う鉛筆としては文句なしに最小だろう。
一応念のため比べてみよう。
上が今回の手帳についていた鉛筆、下がJohann.Faberの鉛筆だ。
ほら、やっぱりA.W.FABERの方が小さい。
ちなみに太さは3.0ミリと3.8ミリといったところだろうか。
いや、小さい。(うれしい)
手帳のサイズは4.8センチ×3.8センチくらいだ。
この手帳、表紙裏はマーブル模様になっているし、カレンダーがついていて、おそらくだがちゃんと人間用なのだ。
ほんと小さいなあ。(うれしい)
そして、同じころに日本でも小さな手帳を見つけた。
こちらはドイツの手帖より少し大き目だ。
と言っても普通の手帖と比べると、かなり小さい。
こちらもエンピツがついていたところがうれしい。
EVENING PARTY PENCILという名前も素敵だ。
海外の舞踏会の手帖がとても小さい手帳なので
それをイメージしていたのかもしれない。
そして私の好きな百貨店モノ。白木屋製である。
この方どなたでしょうね。白木屋の社長さんとかでしょうか。かなりお若いのだけど。
この手帳、小さいのに布張りで、小口もしっかり金色だ。
中には罫線が印刷されており、こちらも小さいながら人が使うようだ。
小さいが、書こうと思えば書けないこともない。
眺めているだけで楽しい古文房具がまた増えた。
★おまけ★
連載「文房具百年」今月は「チェックライター」です。
まだそんなに珍しいものではないと思いましたが、
動作保管のつもりで短い動画もいくつかつけてます。
こちらもよろしく~
安住紳一郎の日曜天国紹介文具とはさみの補足
安住紳一郎の日曜天国、ゲストでダバダのコーナーに出演させていただいた。
聞いてくださった皆様に感謝!
2015年から1年半サイクルで読んでいただき、早くも5回目になった。
今回紹介した文房具は下記となる。
左列上から「竹のパンチ」、「竹のコンパス」、「バリカン削り」、「Perfect Pencil Pointer」、
中央列上から「軍用チョークセット」
右列上から「丸善文房具目録」(1906年、多機能はさみが掲載されており、紹介文を安住さんが読んでくださったやつ)、「マイクロ写真付き多機能はさみ」。
なお、スゴイ偶然だが、最近出た「望星」という雑誌に
谷崎潤一郎の「文房具漫談」が掲載されているらしい。
興味がある方はご覧いただくといいと思う。
そして多機能はさみについて、前回このブログで紹介してから進展があったので、
ラジオでは紹介させていただいたが、記録のため記載しておく。
まず、前回ブログをアップしたことをツイッターでお知らせしたところ
「『吾輩は猫である』に出てくるはさみ」と教えてくださった方がいた。
驚いて早速確認すると、猫の飼い主の友人「迷亭氏」がはさみを自慢するシーンがあり
そこで詳細にはさみの特徴と、「蠅の目玉のような」中に写真があることを
自慢していた。
ということは、丸善のカタログに掲載される前に、おそらく漱石はこのはさみを持っていた。
漱石は内田魯庵という丸善で「学燈」の編集に携わった人物と懇意にしており、
丸善は身近な存在であったことが推測される。
ということは、(勝手な想像だ)日本橋の丸善に行った際に、このはさみを見つけて
購入した可能性がある。
更に小説の中で迷亭氏が自慢しているが、これは漱石自身の自慢という解釈も可能だろう。
ちなみにこの「蠅の目玉」のようなレンズはスタンホープレンズというそうで、
一時期流行ったらしい(これもツイッターで教えていただいた。)
スタンホープレンズで画像検索すると、ナイフや指輪などに組み込まれたスタンホープレンズと写真を見ることができる。
また、はさみの機能だが、海外の方で18種類かな、を紹介しているのを見つけた。
それが下記だが、半分くらいはどういうものか、更にどこの部分のことを言っているのかがわからない。
ま、そのうち追加情報が出てくるだろう。
ないよりましということで。
①はさみ
②ボタンホールはさみ
③ガスパイプトング
④葉巻カッター
⑤ペンチ
⑥定規
⑦物差し
⑧爪やすり
⑨ドライバー
⑩缶切り
⑪カートリッジエクストラクター
⑫金槌
⑬鉛筆削り
⑭ガラスカッター
⑮ガラスブレーカー
⑯マーキングホイール、
⑰ナイフ
⑱スタンホープレンズ
世の中にはまだまだ知らない面白いものが
たくさんあるのだ。
そのことに感謝して、これからも古文房具集めていきたい。
そしてまた日天に呼んでもらえますように。
頑張るのだ。